同性カップルでも安心!
住宅ローン&不動産の購入ガイド

大切なパートナーと一緒に暮らしたい、いつか自分たちの家を持ちたいと願うのは、とても自然で素敵なことです。しかし、LGBTQ+当事者にとって住宅ローンや不動産購入のハードルが少し高く感じられるのも事実です。
法的な結婚が認められていない今の日本では、異性カップルが当たり前に受けている恩恵を手に入れるために、ちょっとした「攻略法」が必要になります。
そこで今回は同性カップルが安心してマイホームを手に入れ、末永く幸せに暮らすための住宅ローン活用術と不動産購入ガイドをお届けします。
増加中!同性カップルが利用できる「ペア型住宅ローン」
かつて、同性カップルが二人で住宅ローンを組むことは非常に困難でした。
多くの銀行では「親族」や「配偶者」でなければ収入を合算することができず、一人分の年収で借りられる範囲の家を探すしかなかったのです。
しかし、時代は変わりました。現在はLGBTQ+への理解が進み、多くの金融機関が「パートナーシップ証明書」などを活用することで、同性カップルでも二人分の収入を合算してローンを組めるようになっています。
主に利用されるのは、以下の2つのスタイルです。
①「2本並立型(ペアローン)」:二人でそれぞれローンを組む
6,000万円の物件を買う場合、
- パートナーAが3,000万円
- パートナーBが3,000万円
というように、それぞれが契約者となってローンを組む方法です。
<メリット>
- 二人とも「住宅ローン控除」をフル活用できる(節税効果が高い)。
- 不動産の所有権(持分)を、出した金額に応じて明確に分けられる。
- それぞれが「団体信用生命保険(団信)」に加入するため、片方に万が一のことがあった場合、その人のローン残高がゼロになる。
<デメリット>
- 契約が2本になるため、事務手数料や印紙代などの諸費用が2倍かかる。
②「連帯型(連帯債務・連帯保証)」:一人が主債務者になる
一人がメインの債務者となり、もう一人がその返済をサポート(連帯保証・連帯債務)する形です。
<メリット>
- 契約は1本なので、諸費用が安く抑えられる。
<デメリット>
- 住宅ローン控除が一人分しか受けられない場合がある(連帯保証の場合)。
- 団信の保障範囲が主債務者のみに限定されるケースが多く、保証人側に万が一のことがあった際のリスク対策が別途必要。
銀行が「公正証書」を求める本当の理由
ペア型ローンを検討する際、多くの銀行から「公正証書」の提出を求められます。
「なぜわざわざ高いお金を払って難しい書類を作らなきゃいけないの?」と思うかもしれませんが、これには深い理由があります。
銀行は「この二人は、35年という長い返済期間中、ずっと協力してやっていける関係なのか?」という点を非常に重視します。法的な家族としての裏付けがない分、「契約」という形での証明が必要になるのです。
具体的には、以下の2つの契約がセットで求められることが一般的です。
合意契約(パートナーシップ合意契約)
二人が人生のパートナーとして協力し、生活費や住宅ローンの返済をどう分担していくかを約束する書面です。
いわば「二人の間のルールブック」ですね。
任意後見契約
これがとても重要です。
もし将来、パートナーのどちらかが病気や認知症などで判断能力を失ってしまった場合、もう一人が代わりに財産管理やローンの手続きを行えるようにあらかじめ委任しておく契約です。
銀行側からすれば、「片方が倒れても、もう一人が手続きを代行して返済を継続してくれる」という保証になります。
Point:公正証書は「愛の証明」であり「お守り」
公正証書は公証役場という国の機関で作成され、原本が保管されます。
改ざんの心配がなく極めて高い証拠能力を持つため、銀行だけでなく、将来の自分たちの生活を守る最強の「お守り」になります。
「もしも」の時に家を失わないために:相続のリスクヘッジ
住宅購入において、最も冷静に考えなければならないのが「相続」の問題です。
今の日本の法律では、同性パートナーには「法定相続権」がありません。
つまり、何の準備もしていないと、パートナーが亡くなった際、二人の家であっても、その持ち分は亡くなった方の親や兄弟姉妹に引き継がれてしまうのです。
「残されたパートナーが住む場所を失う」という悲劇を避けるために、以下の対策をセットで行いましょう。
遺言書の作成(公正証書遺言がベスト)
「自分の持分はすべてパートナーに相続させる」という遺言を残しておくことは、不動産を購入するなら必須と言っても過言ではありません。
生命保険の活用
前述の「団信」だけでなく、パートナーを受取人にできる民間の生命保険に加入しておくことも有効です。
相続税の支払いや、親族への「遺留分(最低限の取り分)」を支払うための現金を確保しておくためです。
パートナーシップ証明書・自治体制度の確認
最近では、自治体のパートナーシップ制度があることで、生命保険の受取人指定や、公営住宅への入居がスムーズになるケースが増えています。
購入予定のエリアがどのような制度を導入しているか、事前にリサーチしておきましょう。
スムーズな購入のための「実践アドバイス」
1. 窓口選びは「人」を見極める
残念ながら、すべての不動産業者や銀行担当者がLGBTQ+に理解があるわけではありません。説明に苦労したり、嫌な思いをしたりするのは避けたいですよね。
最近では「LGBTQ+フレンドリー」を掲げる不動産エージェントや、提携ローンを持つ窓口も増えています。
まずはそうした専門の窓口や、当事者のサポート経験がある専門家に相談するのが近道です。
2.「お年寄りの壁」は無理に越えなくていい
公証役場の公証人や、古い体質の金融機関には、まだ理解が乏しい方もいらっしゃいます。
「分かってもらおう」とエネルギーを使い果たすより、最初から「理解がある担当者」を指名したり、紹介してもらったりする方が、精神的にも時間的にも節約になります。
3. 諸費用と専門家への報酬を予算に組み込む
住宅ローンの諸費用のほかに、公正証書の作成手数料や行政書士・司法書士への報酬など、同性カップルならではの「追加コスト」が数十万円単位でかかることがあります。
これを「安心を買うための必要経費」として、あらかじめ貯金しておくことが大切です。
まとめ:少しずつの準備が、大きな自由を作る
「法律のこと、お金のこと、なんだか難しくて大変そう……」と感じてしまったかもしれません。でも、あせる必要はありません。
住宅購入は、二人でこれからの人生をどう歩んでいくかを話し合う、絶好のチャンスです。一つひとつの書類を整えていくプロセスは、単なる事務作業ではなく、二人の絆を社会的に証明し、揺るぎないものにしていく作業でもあります。
かつては「夢のまた夢」だった同性カップルのマイホーム。今、その扉は確実に開き始めています。
皆さんにとって大切なパートナーとの暮らしが明るく幸せなものでありますように。
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