ゲイカップルにつきまとう同居問題
両親と一緒に暮らすという選択肢について

ステディな仲になってきたから、そろそろ同棲を始めてみようかというゲイカップルは少なくないと思います。
しかしそれが両親との同居になったらどうなるのでしょうか。

なかなか切実、しかし確実にやってくる親の老後の介護問題……。
「ここまで考える必要あるの?」と思われがちですが、今回は考慮すべき親とゲイカップルの同居について考察していきたいと思います。

ゲイカップルと両親の同居は、互いの相性、寛容度で決まる!?

緩くお試しで同棲してみよう、そんなフットワークの軽い同居とは180度異なるのが年老いた両親との同居問題です。
それぞれの家族構成は異なりますが、特に一人っ子、または他の兄弟姉妹が同居を望まないケースは、ゲイとて将来的な同居を考える必要性が出てきます。

ここでは超現実的な側面からゲイカップルと両親の同居の可否について考えていきたいと思うので、現在進行形でお付き合いしているカップルの方は参考にしてみてください。

同居の前に緊急度、必要性を考えよう

さて同性パートナーがいる皆さんはどちらかの両親との同居を考えたことはありますか?
ほとんどの方は「NO」と答えるかもしれません。

しかし実際問題、「いつまでもあると思うな親と金」ということわざがある通り、ある年齢を境に年老いた両親との同居を考えなければならない瞬間が訪れるものです。

そこで大切になってくるのが、それが緊急性を要するのか否かをパートナーと共に考えるということ。
当たり前ですが同居はパートナーの意見や価値観を無視しては成り立ちませんし、また同居が一刻を争うものなのかにも大きく依存します。

例えば両親が片方でも重度の認知症や心身が極度に弱まった状態であれば赤信号、現状では介助は必要がないが、訪れるいつかに備える場合は黄色信号といったところでしょうか。

まず前者の場合は早急な同居や老人ホーム入居などの選択肢を考える必要がありますね。
後者のパターンであれば同居の緊急度は低くなり、近くに住んで仕事終わり週末に顔を出す程度で事足りることでしょう。

どちらにしても両親の世話をするにあたり兄弟や親類の手助けが得られるのか、当人である両親とパートナーがOKサインを出すのかが一番の鬼門になります。

同居をしたほうがイイと思う段階で、ある程度親の老化がネックになっている状況であることは明白です。

しかし猪突猛進に同居を急ぐのではなく、家族の支えや親の現状、パートナーの理解だけでなく、家族構成によっても大きく同居の必要性は左右されてくるので多角面で精査する必要が生じます。

ゲイカップルの同居で大切なこと

まずゲイカップルがどちらかの親と同居するに辺り、一番大切になっていくことを整理してみましょう。

  1. パートナーと義理家族のフィーリングは良いか
  2. プライベートを確保できる空間はあるのか
  3. 上手く役割分担ができるのか
  4. 介護サービスを利用できるのか
  5. 兄弟姉妹や親類の協力はあるのか

これらが同居にあたり重要なポイントになってきます。
当然の如く、「両親との同居は無理!」と思っているパートナーがいる場合は、ゲイ、レズビアン、ストレート関係なくその同居は前途多難です。

まずこれらの中で一番大切なのが互いの結びつきと言いますか、パートナーと同居相手の両親とのフィーリングです。
いわゆる鬼嫁、鬼姑のような間柄ではなく、違和感や拒絶なく義理両親と接することができるかが大前提。

また介護を目的に同居をするのであれば介護する側のストレスは大きくなるので、自分一人になれる空間があることは大切な要素になります。
またお互いの得意不得意を活かして役割を決めて家事や介護ができること、これも円滑に日々の生活を送る為には欠かせない要素です。

ただしゲイカップルは共働きの場合が多いので、キャリアと同居生活の線引きが上手にできるのか、そして兄弟などの手助けや国からの介護サービスなどを併用できるのかも同居、介護のストレスを軽減する要素になってきます。

同性カップルWITH両親、二世帯同居を難しくする外的要因とは?

超高齢化社会を迎えるにあたり、誰が年老いた親の面倒をみるのか?という大テーマはなかなか終わることがありません。
ゲイだとかレズビアンだとか関係なく、誰にでも訪れる訳です。

しかし同性パートナーとの同居は正直日本ではなかなか難しいのが現状。心で漠然と思っていても、回りの理解が自分達の性的指向に追い付かない為です。

ここではそれらの同居を難しくしている要素について解説していきたいと思います。

そもそも理解がなければ同居は始まらない

日本ではまず同性結婚が合法的でないこと、そしてパートナーシップ制度がある都市も限局し、その効力もその居住地のみで有効であることから、同性カップルへの理解が少ないのがまずは第一要因です。

そもそも親との同居を考えている方であれば、自分がゲイであること、パートナーがいることを両親に伝えている方が多いと思います。
子どもの愛の形、そのパートナーを選んだ選択は認めるけれど、やはり悶々とした思いで悩む親は決して少なくありません。

基本ゲイ、ストレートに関わらず親との同居は、前述の通り、自分、パートナー、両親との強固な信頼と絆が無ければ成り立ちません。
ただこの信頼関係は親の老化と共に徐々に性格が丸くなり、何事もまあいいかという半場なげやりになってくることも多々あり、それが逆に好転反応を生む場合もあります。

なお都心部ではなくUターン移住のような形で実家に出戻りする場合は、更に問題が難しくなる可能性があります。
それはゲイを認める認めないというよりも、世間体以上に自分の息子、パートナーを優先できるキャパシティを持つ親が少ないからです。

日本だけのコトではありませんが、情報、人種がブラックホールのように集まる都心部と地方の閉鎖的村社会ではLGBTQに対する寛容度、そして受け入れ体制に雲泥の差があることは明白。

その為地方の親の介護をする際は、親だけでなく周りからどうみられるかという世間体も考慮に入れなければならず、それを無視した形での同居は親だけでなく、パートナーにも大きな心理的負担になってくるので留意しなければなりません。

パートナーが中和剤になることも

実際に身近に親が住んで顔を合わせるだけでも億劫、でも年老いた両親が心配だから……、と同居を決断する方は多いと思います。
お互いの愚痴を聞かされるだけでも嫌になりますが、そこで大きな緩衝剤になってくるのがやはりパートナーの存在なのです。

実際私も義理母と叔父たちが目と鼻の先に住んでいますが、自分で言うのもなんですが、旦那とその家族の間を中和する存在になっている気がします。

勿論義理の家族から受け入れられていることが前提ですが、やはり直接自分の息子に言えないことでも言えたり、旦那が強い口調で捲くし立てる間に他人の自分が入ることで、物事が穏やかに済む場合もあるのです。

つまりパートナーの存在が良好なベクトルになり得るということ。
当事者プラスパートナーを伴った同居はなかなか前途多難ですが、まずは両親と具体的な話しを試みながら反応を伺ってみることから初めてみてはいかがでしょうか。

まとめ

両親の介護を目的にパートナーと共に、実家に戻る選択肢は現段階の日本ではあまり現実的ではないかもしれません。
そこには一定以上のフットワークの軽い価値観を持つ当事者とパートナーと両親、そして環境が整わなければ成り立ちません。

勿論TPOにもよりますが、今の段階ですぐに同居というよりは、将来的にどうしたいか?そしてパートナーのことを日頃から両親に伝えて良好な交流を持ちつつ、同居に向けた意見交換と準備をしていくのがベストかもしれません。

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この記事を書いた人

橋本ウサ太郎

橋本ウサ太郎
新宿二丁目の元バーマネジャー、海外放浪の末、年下スペイン人男性と同性婚。
スペインの田舎町で悶々とした日々を送りながら平和に暮らすゲイ。
アメリカでの代理母出産により二人パパになる予定の三十路ライター。
好きな言葉は、「ペンは剣よりも強し」。

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