ゲイカップルにもオススメしたい!
2人で一緒に観たいLGBTQ映画(邦画)5選を紹介

  • 2023.08.24

エンタメ

最近はゲイ、レズビアン、トランスジェンダーなど性的少数者を扱った映画やドラマシリーズを見かけることが多くなりました。
中にはLGBTQを題材にした映画が著名な映画賞を獲得することも少なくありません。

劇中の話を実生活にそのままスライドすることはできませんが、当事者でも映画を通し、あらたな気づきを得ることは多く、映画を鑑賞しなければ見えてこない世界もあることでしょう。

今回は週末の息抜きや寝る前のリラックスタイムに鑑賞したい、見るべき価値のある邦画を5作品紹介していきたいと思います。

時代を経て異なるアプローチを見せてきたLGBTQ映画

動画ストリーミングが普及したおかげで、自宅で気軽に映画を鑑賞できるようになりました。
LGBTQを題材にした映画は80年代、90年代、そして2000年に突入して以降もコンスタントに洋・邦問わずさまざまなストーリー、題材で発表されています。

LGBTQ関連の映画からは共感と同時に社会に根付く偏見や問題などさまざまなことが改めて見えてくるはずです。

まだ生まれる前に制作されたような、ヴィンテージ映画からは当時のゲイやレズビアンを取り巻く社会の風景が見られ時代を経るにつれてLGBTQ映画が扱う題材にも変化が富んでくるようになります。

同性同士の純愛や家族を迎える大きなテーマの映画からHIVという少々重たい題材にドキュメンタリータッチのものまで、ここではさまざまなスタイルで描かれたLGBTQの映画を紹介していくので、あまり先入観を持たずに鑑賞してみてください。

おすすめ邦画作品5選

まずは日本で制作されたゲイ映画を紹介していきます。
かなり有名どころの作品も多いので、読者の皆さんの中には「おっ!」と思う方も多いはずです。

『his』

ゲイである主人公の井川迅は社会からしいたげられ、都会での生活に疲弊し田舎に戻って自給自足の生活を営むことに。そして、女性と結婚して“空”という娘をもうけた元カレの日比野渚が突然井川の元を訪れたことから始まる、男二人と子ども一人の奇妙な同姓生活。

妻と離婚調停中の日比野とその元カレ迅、三人の大人たちに翻弄される子どものぎこちなさ。親権をめぐる大人の争いと“ゲイは子育てできない”といったゲイを取り巻く偏見の渦が特に都会と田舎の対比として鮮明に描かれている。

見る人の性志向・性自認によってどう映るかは異なると思いますが、ゲイの子育てに触れながら、改めて偏見と向き合えるような作品です。

『薔薇の葬列』

今回紹介している邦画映画の中でも、いわゆるヴィンテージに分類される作品のひとつになります。
1969年に公開された映画で、主演は池畑慎之介(ピーター)。

まだまだゲイだとかレズビアンという存在が奇異の目で見られていた時代に制作されたこともあり、時代の流れを感じさせるストーリーに思わず引き込まれます。

新宿二丁目のゲイバー「ジュネ」を舞台にした、3人の男たちの三角関係を描いた作品。甘さやロマンチック、家族愛などとは無縁のアバンギャルドな夜の世界と急展開を迎えるラスト。

撮影裏の場面やインタビューがチラチラと画中に挟まり、映画というよりも60年代の二丁目のドキュメンタリーを見ているようなアングラ映画の名作です。特に主役のエディを演じたピーターの美貌とグロテスクな描写に釘付けになってしまいます。

好き嫌いが分かれる部類の映画ですが、一つのゲイ映画の歴史の分岐点ともなった名作。
どこか哲学的な視点で描かれているため、視聴者も映画を通してあらたな発見ができるかもしれません。

『ハッシュ』

橋口亮輔監督、田辺誠一、高橋和也主演。
国内の映画賞で多くの受賞を果たした、いわゆるゲイ映画の金字塔的な作品です。

子どもを望むイケメンカップルの二人と精子提供を受け入れる朝子(片岡礼子)が紡ぐありそうでない、もしくはなさそうでありがちなゲイカップルの妊活がテーマ。まだまだ代理母が一般的ではなかった20年前に制作された映画ということもあり、どこか懐かしさも感じます。

平成に生きるゲイが模索する家族の形に迫ったヒューマンドラマは、子どもを望むカップルに是非見てほしい作品と言えます。

『メゾン・ド・ヒミコ』

犬童一心監督、オダギリ・ジョー、柴咲コウ主演。
ゲイのための老人ホームを舞台にした映画。田中泯演じる卑弥呼とゲイの存在を認めきれないでいる卑弥呼の娘の沙織の苦悩、そして末期がんによる死期が迫る卑弥呼の老人ホームでの日常を描いています。

ほのぼのとしているようで現代にもありがちな親子間の確執や年の離れた卑弥呼の恋人(オダギリ・ジョー)が抱える孤独、また海辺の老人ホームに入所するさまざまな人間関係の渦だったり、ゲイ男性がどう歳を重ね死期を迎えるかなど色々と考えさせられてしまう作品。

あまり見かけない設定のストーリーは新鮮味があり、なおかつ2005年当時のまだまだ若い主演キャストが初々しく感じる方は多いようです。

『彼らが本気で編むときは』

LGBTQの家族の形を描き、ベルリン映画祭でテディ審査員特別賞と観客賞というダブル受賞を果たした話題作。身体は男性、心は女性というトランスジェンダー(MtF)という難しい役どころを演じたのが生田斗真。

小学5年生の少女トモが、蒸発した母親の弟で叔父のマキオの元に身を寄せるところから物語は始まります。マキオ、そしてそのパートナーのリンコ(演:生田斗真)との奇妙な生活はトモにとって馴染めないものでしたが、徐々に家族の愛の形を確認していく。

リアルな生活ではなかなか覗けない子ども目線でのトランスジェンダーに対する違和感や、受け入れようとする葛藤が繊細なタッチで描かれています。

リンコがトモに抱く母性、リンコに対するトモのLGBTQへの根強い偏見や拒否感、当事者が鑑賞すると心をギュッと締め付けられるような痛みを覚えてしまいます。

LGBTQと家族だけに留まらず、親のネグレクトや貧困にクローズアップした内容はダイバーシティー教育や子どもたちへの啓蒙にも利用されています。

まとめ

今回は特に鑑賞すべき価値ある邦画を5本紹介しました。
日本発のLGBTQ映画でも昨今はさまざまな視点で描かれたストーリーの秀作映画が多くなってきました。

アジアの中でもまだまだ閉鎖的な日本ではありますが、島国だからこその異質を排除しようとしてきた文化から生まれる作品は独特のストーリー展開があるように感じます。

ぜひ空き時間を利用して、こころ温まるもしくは考えさせられるような1本をチョイスしてみてはいかがでしょうか。カップルでも、家族でも、そして一人で観ても価値観が広がる映画です。

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この記事を書いた人

橋本ウサ太郎

橋本ウサ太郎
新宿二丁目の元バーマネジャー、海外放浪の末、年下スペイン人男性と同性婚。
スペインの田舎町で悶々とした日々を送りながら平和に暮らすゲイ。
アメリカでの代理母出産により二人パパになる予定の三十路ライター。
好きな言葉は、「ペンは剣よりも強し」。

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