LGBTQIAの”Ａ”に分類されるアセクシュアル。
概念やゲイのアセクシュアルとはどんな人を指すのか

人の数だけ愛の形があるものですが、中にはロマンティックな恋愛や激しく燃え上がるような恋を求めない、そんな人達もいます。

今回のコラムではアセクシュアルという概念について解説していきます。
自身の性自認をゲイと認識している方の中にも、ハッと腑に落ちる方が居るかもしれませんね。

ゲイでアセクシュアルというケースも･･･アセクシュアルの真実

相手にはあまり性的な欲求が感じられない、もしくは性的な関係はあるけれど友人以上恋人未満の関係にしか収まらない。そんなゲイの恋愛だってあることでしょう。

私達ゲイは男性を恋愛対象として、性的な欲求を抱くものと一方通行な考え方を抱きがちですが、実際はアセクシュアルなゲイ男性と出会う可能性も秘めています。

今回はアセクシュアルという性指向についてピックアップ。
皆さんはアセクシュアルという恋愛を間違えた認識で誤認していませんか。

アセクシュアルとは？その概念について解説

アセクシュアルという言葉をご存知でしょうか？
セクシュアルマイノリティ当事者のゲイであっても、多様な性自認に対しての理解が追い付きません。

ゲイであっても、実はアセクシュアルの傾向が高い人々は確かに存在しているためしっかりとそのマインド、恋愛に対する価値観をクリアにすることが望まれます。

ここではまずアセクシュアルの定義についてを解説していくので、是非参考にしてみてください。

誰にも恋愛感情を持たない人々がアセクシュアル？

ゲイとしての自認を持って生活していると、同じコミュニティにいる仲間たちが全て男性と性的接触、恋愛に従事していると勘違いしてしまいがち。

しかし中には一般的なゲイとは異なる価値観を持った人々もいます。
その例として挙げられるのがLGBTQIAの”Ａ”に分類されるアセクシュアルです。

男性が男性に恋愛感情を抱く人々がゲイ、女性が女性になびくならばレズビアン。
それと同じく複数ある流動的な自認の一つとして挙げられるアセクシュアルは、簡単にいうならば「他者に対して性的な欲求や関係性を望まない人々」と定義づけられています。

非常に誤認されやすいのですが、アセクシュアルの人々でも恋愛経験がある人々はいますし、結婚や子どもに対しての希望を明確にしている場合も勿論あります。 共通事項として、他者に対しての性的な興味であったり感情がない、もしくは少ないという事象が挙げられます。

ただしバイセクシュアルの人々が男性もしくは女性、どちらの性別により多くの性的魅力を感じるかを計量しにくいように、アセクシュアルの人々の恋愛や性的欲求のレベルや行動範囲を厳密に落とし込むことはできません。

あるアセクシュアルな男性は淡泊ながらも他者との性的経験がある場合もあれば、一方でロマンチックな恋愛体験を経験したことはあれど、性的な欲求は一切感じない人もいます。

性自認としてのアセクシュアルを認識していたとしても、それぞれの性的な経験値や恋愛に関しては異なるスペクトルを持っているということです。
このように人によってアセクシュアルの多様さという物差しにも、幅があるのが特徴と言えます。

意識的な禁欲とは根本的に異なる概念

アセクシュアルな人々は性的な興味や恋愛というものに、大きな関心を持ちません。
しかしここで勘違いしないでほしいのは、彼らの性自認というものは意識的な性活動の抑制とは異なる点です。

例えば宗教による禁欲であったり、自分を自制する為の恋愛活動や性活動の抑制、またはメンタル的な性欲減退についても同様です。
また失恋後に陥りがちな恋愛恐怖などもアセクシュアルとは切り離す必要があります。

アセクシュアルとはあくまで第三者に対して自己意識として性的欲求や興味がない、もしくは少ない人々のことを定義しています。

ゲイでアセクシュアルとは一体どんな人を指すのか

アセクシュアルを日本語に訳すならば「無性愛」という言葉になりますが、漢字をそのまま表すような全くの愛がない状態では決してありません。

アセクシュアルの人々は人生設計に、アセクシュアルである自分が心地よいオプションを選び、上手く取捨選択して自分自身の性自認や性指向を決めています。

突き詰めて考えると、アセクシュアルという定義の幅の広さに頭が付いて行かなくなってしまいますね。
さてここではゲイでアセクシュアルという立場を考えてみましょう。いったいどんな人々が当てはまるのかを考察してきます。

アセクシュアルでゲイを自認とは？

他者に性的な欲求を抱かない、もしくはそれが少ない場合はアセクシュアルである可能性が非常に高いです。

これをゲイ男性の場合に落とし込んでみると以下のような場合に分かれます。

1. 男性に惹かれるけれど、性的な欲求はない
2. 男性とのキスやスキンシップに興味はあっても行動には移しづらい
3. 男性と付き合っているが、性関係は積極的になれない
4. 友情に似た親密さを男性に感じる
5. エモーショナルな感情を持つ為に敢えて男性と性的な接触を持つ

男性が好きで男性とお付き合いをしたいし、あわよくば同性結婚もしたいという一般的なゲイを自認する男性目線から捉えると、アセクシュアルなゲイ男性が持つ幅広い選択肢には眩暈を覚えてしまう方もいることでしょう。

基本として言えるのが他人に性的な欲求を抱くことが少ないことですが、実際そこに性的な接触が全く無いとは限りません。
中には性欲がないけれども、男性と淡泊な性的接触を図るケースもあれば、パートナーである男性とのみ性的な接触を持つアセクシュアルゲイもいます。

恋愛に関してはあくまで後天的な要素であり、友達以上恋人未満の感情を持つ人もいれば普通に男性を好きになるアセクシュアルな人も勿論います。
何度も言いますが非常に線引きが難しく、明確な定義ができないのがアセクシュアルというセクシュアリティです。

ゲイという母集団の中にも、様々なパターンを持つアセクシュアルを自認する男性は少なからずいるので、ゲイはこうあるべきという一方通行のマインドを持つのではなく、様々な可能性、価値観を許容できる思考を育てていくことも大切になってきます。

まとめ

あまりアセクシュアルというセクシュアリティを意識できていない為、いざゲイでアセクシュアルという人に出会ってしまうと迷いや焦りを感じる人も多いと思います。

性的な欲求が皆無もしくは少ないけれど恋愛感情は付随するという場合もありますし、恋愛感情とは言えないけれども親密な信頼関係を望むゲイのアセクシュアルもいます。

ストレートな恋愛感情や性的欲求を持つゲイ男性にとっては新鮮な感覚と感じられるかもしれませんが、私達が思うゲイはこうあるべきというレッテルをまずは剥がすことが必要になります。

アセクシュアルという価値観を持つ人々に対して自分目線でのジャッジをするのではなく、自分の性指向や性自認を受け入れるように多様な性を受け止められる土壌を耕していくことが望まれます。