同性カップルは生命保険に入れる?
そもそも保険の受取人に指定は可能なのか

まだ考えるのは早いかもしれません、しかしいつ何時何が起こっても不思議ではない昨今、多くの同性カップルが互いを受取人にした生命保険加入を考えています。

しかし同性結婚が認められていない日本でも、果たして生命保険に加入し愛するパートナーを受取人に指定できるものなのでしょうか。
今回は仲睦まじい同性カップルに参考にしてほしい、生命保険加入事情について解説していきたいと思います。

生命保険加入条件と同性カップルがゆえの大きな問題点

同性カップルで生命保険加入について悩ましい思いを抱えている方は決して少なくないはず。
生命保険は受取人が肉親または配偶者だけなのでしょうか。

ここではその事実関係を紐解きながら、保険金受取ができるか否かについてメスを入れていきたいと思います。

同性カップルと告知条件と加入の可否の可能性

皆さんもご存知の通り、保険加入については必ず加入できるわけではありません。

つまり加入希望者の健康状態によっては加入ができない場合もあり、がんや心筋梗塞、認知症、糖尿病などで入院、手術を過去に行った、または診察、治療、投薬をした場合などもその加入が難しくなります。

しばし同性カップルの中で障害になるのがHIV陽性、性同一性障害の診断、治療を受けた場合ですが、これらの場合は加入できる生命保険の選択肢も残念ながら狭くなります。

後述しますが昨今では保険業界において、今までの枠組みを取り外し、平等な保険商品の開発が進んでおり、告知条件が緩和されるなど、LGBTQに寄り添った保険も登場しており、10年前には考えられなかった程その敷居は低くなってきているのです。

同性パートナーは保険金を受け取れるのか

さてここで生命保険に加入できたとしても、果たして同性結婚が認められていない日本において、同性パートナーを保険金受取人に指定できるのかという問題が生じます。

基本的に受取人は配偶者と二等親内の肉親(祖父母、両親兄弟、子・孫)に制限されており、その厳密なルールに従うと、残念ながら同性パートナーを受取人に指定することはできません。

勿論遺言状に金銭を残す旨を残すことでパートナーに遺産という形で金銭を残すことはできますが、同性間の婚姻が合法でない日本では相手が異性でないという理由だけで受け取りができない場合が考えられるのです。

勿論婚姻関係にない男女、つまり内縁のカップルに関しても、厳密に言えば受け取りの資格はありませんが、保険会社によってはケースバイケースで受取人に指定することは可能なようです。

しかしながら、保険会社、担当者の裁量にもよりますが、同性カップルでも二人の関係を証明することができれば、互いを保険金受取人に指定できる場合があることを忘れてはなりません。

増え続けるLGBTQフレンドリーの保険会社

ここまで日本の法規制がゆえに同性パートナーの保険金受取指定が難しい、というネガティブな側面を説明してきました。
しかしここ5年でその流れは徐々に変わり、昨今の保険業界はLGBTQに歩み寄った姿勢を見せています。

ここではいわゆるLGBTQに優しい保険会社、実は同性パートナーでも保険金が受け取れる、そんなサービスを展開している保険会社の存在について解説していきたいと思います。

同性パートナーシップをきっかけに

2015年に制定された渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例(長いですね……)渋谷区に限局する同性パートナーシップのことですが、この画期的な可決が保険業界にも少しの改革をもたらしました。

つまり今までのガチガチに固められた、保険金受取は配偶者、そして二等親に限るという選択肢に、同性パートナーの選択肢が認められるようになったということです。

勿論日本国内で販売されている全ての生命保険がその対象であるとは限りませんが……。

基本全ての人に平等のサービスを、というのがキャッチコピーのようですが、やはり世界的に常識になりつつあるLGBTQへの生きやすさ追求、配慮を見せた結果と認識していいでしょう。

しかし同性パートナーの保険金受取が可能であっても、実際は二人の関係性を示す必要がでてきます。
心と心は繋がっているけれども別居を貫き通している同性パートナーは内縁関係と認められない場合がほとんどです。

気になる二人の関係を立証するには、

  1. 同性パートナーシップ証明書
  2. 住民票

などの提出が各保険会社の裁量により提出を促されます。
これ以外にも同性パートナーと享受している家族向けサービスの利用が、一つの判断基準として採用されることもあるようです。

ただし各々の保険商品における、二人の内縁関係を証明する基準は異なっているので、紙面上の証明書が必要ない場合もあります。
このように令和を迎えた日本では、少しずつではありますが着実にLGBTQの同性カップルが利用できる生命保険サービスも増えてきているのです。

保険会社選びには慎重に

同性をパートナーに持つ当事者にとって、保険選びの選択肢が増えてきている現状は喜ばしいこと。しかし前述の通り各々の保険会社で規約は大小異なるので、それぞれに合った商品を選ぶ必要があります。

同性パートナーシップ証明書提出を原則義務付けているところは、同性パートナーシップ締結外の場所に住んでいるカップルにとっては難しい選択肢になるはず。
また性別適合手術を考えているパートナーがいる場合は、性変更が円滑に認められている保険会社を選ばなければなりません。

保険会社選びの一つの指標になるのが、商品が持つルールやサービス内容と同時に、その保険会社が利用客だけでなく、そこで働く社員に対してのダイバーシティをいかに重視しているかという点です。

社員の性的指向を理解しそのパートナーに対しての福利厚生を性別や国籍などを問わずカバーしている企業は、LGBTQの顧客に対しても柔軟な対応をする傾向が高くなっているので、その点も考慮にするべきでしょう。

まとめ

今回はいつか訪れる死期に備えた生命保険加入、そして同性パートナーの保険金受取の可否について解説をしてみました。

まとめると、受取人指定に同性パートナーを包括している保険会社はあるということがわかりました。
しかし求める生命保険が必ずしも同性パートナーを指定できるとは限りませんし、同性パートナーシップ証明提示が必須の会社も多いので、その点については留意が必要です。

また生命保険以外に医療保険、自動車保険などに同時加入することで一定の割引が適応されるところも少なからずあるので、各々が必要とする保険サービスをまずは明確にしてから保険会社選びをしていきましょう。

なお自分一人では決められないという方はWEB上の保険代理店やファイナンシャルプランナーなどに意見を仰ぐこともおすすめです。

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この記事を書いた人

橋本ウサ太郎

橋本ウサ太郎
新宿二丁目の元バーマネジャー、海外放浪の末、年下スペイン人男性と同性婚。
スペインの田舎町で悶々とした日々を送りながら平和に暮らすゲイ。
アメリカでの代理母出産により二人パパになる予定の三十路ライター。
好きな言葉は、「ペンは剣よりも強し」。

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