ゴールデンウィークのイベントとして開催される
レインボープライドの歴史やイベントをおさらい

  • 2019.07.05
  • 2019.10.11

ニュース・情報

東京レインボープライドという言葉を耳にしたことはありますか?
LGBTという言葉が世の中に浸透し、性的少数者の人権が少しずつ認められるようになった現在でも、日本国内で大半のLGBTは自分の性的指向やライフスタイルをカミングアウトすることなく生活しています。

こうしたなか、LGBTが差別や偏見にさらされず、前向きに生活できる社会の実現」を目指し、毎年ゴールデンウィークに東京都内で開催されているのが東京レインボープライドというイベントです。
今回は「東京レインボープライド」についてお伝えしよう思います。

東京レインボープライドとは

そもそも「東京レインボープライド」とはどういう意味なのでしょうか。
「東京」はいうまでもなくイベントの開催地を表しており、毎年、代々木公園を中心として様々な催しが行われています。

「レインボー」は日本語にすると虹という意味で、七つの色がLGBTを象徴するカラーとして使われているのはよく知られていること。

「プライド」は直訳すると誇りという意味になりますが、性的少数者が自己の性的指向や性自認に誇りを持つべきとする概念を表す言葉として、欧米諸国をはじめとして国際的に認知されています。

つまり、東京レインボープライドとは、性的少数者が誇りを持つために、自分たちを象徴するレインボーカラーをモチーフに、より住み良い社会を目指して東京で開催するイベントということができるかと思います。

レインボーカラーの歴史

なぜレインボーカラーがLGBTを象徴する色になったのかというと、話は1970年代のアメリカにさかのぼります。

当時、アメリカで初めてゲイだと公言してサンフランシスコ市会議員に当選したハーヴェイ・ミルク氏が、LGBTコミュニティーのシンボルとなる旗の作成をギルバート・ベイカー氏に依頼しました。

依頼を受けたベイカー氏は「すべての人が色とりどりで違っていながら、それぞれが美しい存在である」という意味を込めて、七色の虹をモチーフに作成したのがレインボーフラッグです。

1978年6月25日の「サンフランシスコ・ゲイ・フリーダム・デイ・パレード」で初めて使用されて以降、このレインボーカラーがLGBTを象徴する色として世界中に知られることとなりました。

プライドパレードの歴史

1969年に、アメリカ・ニューヨーク市内にあったゲイバーに警察の弾圧的手入れが行われ、これをきっかけに数千人規模の暴動が発生しました。
この事件はLGBTの権利を求める声が高まるきっかけとなり、事件の翌年の1970年に行われたデモンストレーションがプライド・パレードの始まりとされています。

日本では1994年にスタート

さて、1970年代にサンフランシスコのゲイパレードでお目見えしたレインボーフラッグですが、日本でゲイパレードが開催されるようになるのには、もう少しの時間を要することになります。

日本で初めてプライドパレードが行われたのは1994年のこと。
「第1回レズビアン&ゲイパレード」が東京で開催されました。

この日、約1,000人の参加者がレインボーフラッグを掲げて新宿中央公園から渋谷の宮下公園まで行進しました。
アメリカでレインボーフラッグが登場してから16年後のことです。

このレズビアン&ゲイパレードですが、1996年の第3回パレードまで毎年開催されたのち、運営方法をめぐる対立などからしばらく中断してしまいましたが、2000年に「東京レズビアン&ゲイパレード2000(TLGP2000)」として復活。

2005年に運営団体である「東京プライド」が設立され、「TLGP2005」「TLGP2006」を開催したのち、2007年にはパレードの名称を「東京プライドパレード」と改称しています。

これはレズビアンやゲイだけでなく、バイセクシュアルやトランスジェンダーも含めた性的少数者のためのパレードという意味を押し出すためで、「東京プライドパレード2007」では約2,800人がパレードに参加し、街を練り歩きました。

その後、東日本大震災の起きた2011年には開催されませんでしたが、翌2012年には運営母体「東京プライド」から枝分かれした「東京レインボープライド」が新たに設立され、団体名を冠したパレードが行われるようになります。

東京レインボープライドのテーマ

東京レインボープライドでは毎年テーマが決められます。

2012年は「Power of Rainbow」
参加者4,500人、パレード1,500人

2014年は「人生いろいろ♪愛もいろいろ♥」
参加者は15,000人、パレード3,000人

2016年は「BEYOND THE RAINBOW」
参加者は70,500人、パレード4,500人

などとなっています。

そして日本で初めてのパレードから25年が経過した2019年、平成最後であり令和で初めてとなる「東京レインボーパレード2019(TRP2019)」が、ゴールデンウィークの期間中、代々木公園を中心として開催されました。

東京レインボープライドでは「25周年という記念すべき年にPRIDEの原点に立ち戻り、らしく、たのしく、ほこらしく、手に手をとって、これからも行進を続けていきましょう」としています。

東京レインボープライドでのイベント

これまで東京レインボープライドとは何か、そしてその歩みについてお伝えしてきましたが、街を練り歩くパレードのほかにはどんな催しが行われたのでしょうか。

TRP2019では、4月27日から5月6日までのプライドウィークと呼ばれる開催期間中、様々なイベントが行われました。
TRPでは「LGBT全国活動家交流会」といったものから「平成最終夜 RAINBOW ROOFTOP PARTY」「プライドフェスティバル公式アフターパーティー」などのパーティーを主催。

講演会・トークショーとしては「ストーンウォールの蜂起50周年『知らなければいけない ゲイプライドの原点!』」「トランスジェンダーとHIV/エイズ、知ってみよう、語ってみよう」
「性的マイノリティの精神的健康に関する報告会」といったイベントが行われました。

また、体験・参加型イベントとして「青空ヨガ&ピクニック」「あなたの可能性を広げる心理学ワークショップ〜人生を再選択するために〜」、展覧会・上演会は「映画で楽しみ考えるセクマイの老後」、ドキュメンタリー「空と、木の実と。」がそれぞれ開催されています。

さらに、メイン会場となる代々木公園野外ステージには、4月28日と29日の2日間にわたり日本全国各地からパフォーマーが集結。

フジテレビアナウンサーの阿部知代と女装パフォーマー/ライターのブルボンヌを総合司会に迎え、m-floや青山テルマ、清貴といったミュージシャンから清水ミチコやRYUCHELL(りゅうちぇる)などの芸能人が素晴らしいパフォーマンスを披露、イベントを盛り上げました。

東京レインボーパレード、LGBTなら参加する価値のあるイベントだと思いますが、カミングアウトしていないゲイにとって、どこで誰に会うか分からないという点ではリスクが高いと考える人もいるようです。

そんな方は、旅行ついでに海外のプライドパレードに参加してみるのもひとつのアイディアかもしれません。
欧米では日本に先立ってこうしたイベントが行われていますし、最近ではアジア諸国でも盛り上がりを見せています。

ここでは主なもの(2019年春現在、変更の可能性あり)をお伝えします。

【NYC PRIDE(開催都市:アメリカ・ニューヨーク)】
毎年6月最終週の日曜にマンハッタン5番街を100以上のフロートが行進。

【PRIDE TORONTO(カナダ・トロント)】
1970年に初めて開催され、現在では100万人超が参加する大規模イベント。

【PRIDE AMSTERDAM(オランダ・アムステルダム)】
約80艘ものフロート船が運河を航行するパレードは圧巻。毎年8月第1土曜日に開催。

【PRIDE in LONDON(イギリス・ロンドン)】
1972年7月1日に初開催。動員数100万人を誇るイベントに成長。

【Sydney Gay AND Lesbian Marde Gras(オーストラリア・シドニー)】
毎年2月の第2木曜から3月の第1土曜まで開催。1974年に同性愛が合法となって以降、参加者が増え続け、現在では世界有数のLGBTイベントに。

【台灣同志遊行(台湾・台北)】
2003年に第一回が開催され、今ではアジア最大プライドパレードに。毎年10月最終土曜日に開かれ、東京レインボープライドがフロートを出している

【ソウル・クィア・カルチャー・フェスティバル(韓国・ソウル)】
毎年6月か7月の土曜日に開催。東京レインボープライドが毎年フロートを出している。

【香港同志遊行(中国・香港)】
2008年12月に初開催、毎年11月最終土曜日あたりに開かれる。2022年にはアジア初となる「ゲイ・ゲームス」も開催予定。

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この記事を書いた人

いなば

いなば
神奈川県生まれ。小学生の頃から何となくゲイだと気付き、中学高校と男子校で過ごすなかでセクシュアリティーを確信。大学在学中に母親へカミングアウト済み。
20歳で初めて自分以外のゲイと出会う。
相方の海外駐在に伴い、退職して赴任先へ付いていったことも。
生意気で向こう見ずなクソガキ時代から年齢を重ね、徐々に穏やかで楽天的な性格に。元新聞記者で現在はライター・カメラマン・インタビュアーとして活動する東京在住の40代ゲイ。

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