現役ゲイカップルが語る!
代理出産で子どもを迎えるまで(パート2)

代理出産で子どもを授かるのはまさに困難の連続。
前回のパート1では私たちカップルが代理出産を決意するまでの経緯や、メキシコを選んだ理由などを説明しました。

現役ゲイカップルが語る!代理出産で子どもを迎えるまでパート1
私はスペインの旦那とスペインで生活する日本人のゲイですが、私達は結婚当初から子どもを育てるという大きな夢を持っ …

今回は代理出産で子どもを迎える際に直面することになるドナー、卵子提供者選びについて私たちの経験を交えてお話していきたいと思います。

代理出産で子どもを持つためのプロローグ

代理出産に関する情報はネット上に多く見かけますが、特に気になるのが金銭的な負担と代理母、卵子ドナー選びに関してです。

どこの国で代理出産を行うかというも二人を悩ませますが、今回は代理母と卵子提供者選びに的を絞ってお話をしていきたいと思います。

提供者の国籍や職業・・・どうやって卵子提供者を選ぶ?

まず代理出産エージェントに第一回目の支払いを済ませた後(分割での支払い額や時期についてはエージェント、国で異なります。代理出産の費用に関しては別のコラムでお話いたします)、卵子提供者を選ぶ必要が出てきます。

それぞれカップルの希望を考慮して卵子提供者を選ぶのは、代理出産のプログラムにおいてもっとも早い段階で決断を迫られるステップと言えます。

代理出産での卵子選びについて

ここで紹介していくのは、あくまでメキシコでの代理出産に関しての情報ですが、どんな利用者にとってもまず一番最初に頭を抱えてしまうのが卵子ドナー選びです。

たとえば日本人カップルであれば、日本人の卵子提供者を選びたいと思うのも自然ですし、パートナーが外国出身であれば、その国にルーツがある女性から卵子提供を望む場合も多いと思います。

基本的にクリニックが紹介する卵子ドナーから選ぶことになりますが、極まれにカップルの家族や親戚の女性から卵子を提供してもらうケースもあります。しかし、それは親戚に適齢期の女性がおり、理解と合意が得られる場合のみ可能なため、それに当てはまるカップルは少ないようです。

私たちの場合は家族に女姉妹や親戚がいないため、必然的に卵子提供者はメキシコシティーにあるクリニックから紹介されたドナーが選択肢になります。ドナーになるにはさまざまな条件を満たす必要があるので、通常私たちの友人や知人からの卵子提供はイレギュラーであり、そのプロセスはより複雑になるそうです。

メキシコ渡航の前に選ぶことになる卵子ドナーは全員がメキシコ在住です。
当然ですがメキシコシティーのクリニックに数回来院することになるため、地理的な問題もあると思います。

私たちカップルとクリニックの橋渡しをしているエージェントから示されたのは、PDFによる卵子ドナー女性の情報と写真であり、そこから提供者を選ぶ必要がありました。

まずは簡単な経歴と写真で第一~第三候補者までを選びます。
それぞれ仕事をしていたり、プライベートを優先する必要があり、卵子採取可能な時期がそれぞれ違うためです。

PDFにはおおよそ150人程度の女性が記載されており、職業はモデルから医学生までさまざまでしたが、基本的にほとんどの女性がモデルエージェントに所属している女性で、中にはヴォーグ誌の誌面を飾るような女性も卵子提供者でした。

出身国はメキシコが95%、あとはブラジルやアルゼンチンなどの南米諸国、ごく少数アメリカ出身女性などもいます(もちろん女性の出身国がメキシコ国外であっても、メキシコでメキシコ人女性が出産するため、生まれる子どもはメキシコ国籍になります)。

そしてその中から候補者を選ぶと本人の性格や学歴などの詳細なデータが送られ、卵子提供日時を確認したのち、卵子を採取する運びとなります。

日本人からの卵子提供は可能なのか

私たちの場合は特にパートナーのスペイン人が日本人女性による卵子提供を望んでいましたが、結論からいうとメキシコのクリニックに日本人ドナーもしくはアジア系卵子提供ドナーは一人もいませんでした。

こればかりは代理出産プログラムを行うエージェントの力、クリニックの規模にもよると思います。

聞くところによるとアメリカの場合は費用がメキシコの2倍程度もしくはそれ以上必要なため、さまざまなオーダーを希望することが可能のようです。またアメリカには日本人在住者も多いためチャンスは広がると思います。

スペイン人利用者が多いメキシコでは、卵子提供者の女性の出身国にこだわりを持つパターンはそこまで多くありません(もちろん、ドナーの親、親戚がスペイン系など、スペインとの関連を希望するパターンはありますが)。

もし、卵子提供者にさまざまな選択肢を持ちたいという方は、高額でも代理出産プログラムの先進国であるアメリカを候補に入れるべきでしょう。

ただし、卵子ドナーが日本人であっても、出産する場所がアメリカの場合はアメリカ国籍となり、卵子ドナーが日本人=日本国籍とは限らないので、その点は誤解しないでください、

代理母に出会うまでのステップ

受精卵を胚に移植し、妊娠してもらう女性のことを代理母と言います。
素晴らしいドナー女性との出会うことが、代理出産で子どもを出産するために必要不可欠な条件と捉えることもできます。

卵子提供者とは異なり女性の負担が大きいからこそ、代理母選びには困難を伴う場合が非常に多いのです。

代理母になる資格がある女性とは

実際に代理出産を担う女性を選ぶのは非常に難しいです。
代理出産のドナーになる女性は、

  • 妊娠、出産経験があること
  • 家族、義理の家族からのサポートが得られること
  • 妊娠適齢期であること

が基本的な前提条件になります。

もちろん中にはシングルマザーで子育てをしている女性もいますが(私たちの場合がそうです)、基本的に結婚している女性がほとんどです。

ただし、年齢が若すぎると心配だからと依頼者側がNGを出すことがありますし、同性愛者はちょっと…というスタンスの代理母候補者ももちろんいます。

ある種の病気にり患している場合は、それを理由に代理母候補者から断られることもありますし、何度トライしても妊娠に成功しない場合は代理母を再度探す必要があることも考えられます。

中には代理母候補者数人から断られ、着床にもなかなか成功せず、数回代理母を変えてようやく妊娠したというケースもあります。もちろん1回目の胚移植で難なく妊娠ということもあるので、こればかりは神頼み、運が左右する問題であるとも言えますが。

なお代理母とは継続的なコミュニケーションが望まれるのですが、実はここで大きなトラブルになる場合もあるそう。つまり依頼者側の連絡が密にあり過ぎると逆に代理母の心的ストレスにつながり、結果代理出産を拒否するといったケースなどもあったそうです。

もちろんそれはたまたまだったのかもしれませんが、双方の負担やストレスも多く忍耐力が必要になってくるため、私たちが使用したエージェントはあまりに頻繁なコミュニケーションは推奨していませんでした。

複雑な法律面の問題をクリアにする必要性

代理母になる女性とは現地で面会する必要があります。
国やエージェントによっては、渡航前に顔合わせをする場合もあると思いますが、こちらもそれぞれやり方は異なると思います。

私たちのケースではメキシコシティーのクリニックで初めて面会し、それから法的な手続きをする為に弁護士の元へ向かいました。

メキシコ、アメリカの場合も同様だと思いますが、依頼者カップルが子どもの親権を持つために必要な書類にサインをする為です。国によっても法律は異なると思いますが、さまざまなペーパーワークに追われることになります。

出産は命がかかっているため、妊娠、出産時についての医療保険や家計へのサポートなど細かな条項についての確認作業が同時に行われます。

なおメキシコでは法律に関する問題をカバーするための書類を作成してもケースバイケースで裁判所からの呼び出しがあることも予想されるので、その場合はスカイプなどを通して面談が課される場合もあるようです。

まとめ

今回は代理出産でまずはじめに悩む卵子提供者選び、代理母選びについて簡単に解説していきました。

特に代理母選びは前途多難であり、代理母を選んでから出産するまでは非常に長いプロセスを経なければならないことを覚悟せねばなりません。

何度も言いますが代理出産プログラムは各国、エージェントによって差があるものなので、予定がある方はまずはエージェントに問い合わせて詳細を聞いてみることから始めてください。

コロナ禍によって代理出産についても渡航が難しく役所仕事が機能しないこともあったと言いますが、最近ではコロナ禍以前と同じような落ち着きを見せてきているようです。

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この記事を書いた人

橋本ウサ太郎

橋本ウサ太郎
新宿二丁目の元バーマネジャー、海外放浪の末、年下スペイン人男性と同性婚。
スペインの田舎町で悶々とした日々を送りながら平和に暮らすゲイ。
アメリカでの代理母出産により二人パパになる予定の三十路ライター。
好きな言葉は、「ペンは剣よりも強し」。

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