これを言うのはタブー?辞めて欲しい?
相手がゲイと分かっても言わないでいて欲しいこと

  • 2020.01.07
  • 2020.03.04

ライフ・生活

突然ですが、あなたの周りにゲイはいるでしょうか。
一般的な統計によると、色々な説はあるものの、人口の5パーセントから10パーセントがLGBTだと言われています。

そのため、自分自身では周りにゲイやLGBTの当事者はいない、会った事はないと思っていても、それは実はあなたが知らないだけであり、当事者がバレないようにひっそりと隠しているからなのかもしれません。

最近では少しずつ環境などの変化などもあり、自分の性的指向を公表する人、カミングアウトをしているゲイも増えつつあります。
そのため、「友達や同僚がゲイ」という方もいるのではないでしょうか。

しかしながら、急にそういう状況下に置かれた時、または何かの拍子に目の前の相手がゲイであったりLGBTの当事者であったと知った時、多くのノンケの人は戸惑います。
どのような人付き合いをしたら良いのか、言ってはいけないことがあるのかなどがわからず、躊躇してしまうという人も多いかもしれません。

そこで今回は、あなたの周りのゲイに言わないほうが良いこと、ゲイが実は言われたくない、言われて悲しいことをテーマに、お伝えしたいと思います。
これらを知ることで、ゲイなどLGBTの当事者と円滑な人間関係が築けることを願っています。

ポイント1. 勘違い

ノンケの人達にとって、ゲイというのはまだまだ身近な存在ではありません。
これだけLGBTという認知が広がりつつある世の中でも、まだまだやはり差別や変わり者を見る目というのは少なくありません。

そういった事もあり、ゲイ=テレビなどで作り出されたイメージを思い浮かべる人が多いかもしれません。
ですが、テレビなどはインパクトを重視している事もあって多くは勘違いであり、ほとんどのゲイに当てはまりません。

多い勘違いの1つ、ゲイ=オネエという勘違い

ゲイは全員がオネエだと勘違いしている人が少なからずいます。
テレビをはじめとしたマスメディアに出ているゲイがオネエタレントであることが、その理由かもしれません。

  • マツコデラックスさん
  • はるな愛さん
  • IKKOさん
  • KABAちゃん
  • クリス松村さん
  • ミッツマングローブさん
  • おすぎとピーコさん

などなど、ゲイであることを公表していたり、それを武器に芸能活動をしている人にはオネエ系のタレントが多いです。

キャラクターが濃くて発言がハッキリしているので、テレビ的に使いやすいからかもしれません。
しかしながら、テレビで濃いキャラクターとしてゲイが描かれると、彼らが一般的なゲイだと思っている人も多くなってしまっています。

ところが、ほとんどのゲイは彼らのように日常的にオネエ言葉を使ったりはしません。

これは当たり前の話であり、そもそもカミングアウトしているゲイは一握りなのです。
もっと言えばカミングアウトしているからといって、会社や学校などの日常生活でオネエ言葉を使うはずがありません。

実際、ゲイの中にもオネエ言葉が好きではないというゲイは多くいますし、ゲイ=オネエと思われていることに飽き飽きしているゲイがいるのもまた事実です。

ですから、もしあなたの周りにゲイがいたとして、その方がオネエでない場合、わざわざ「オネエじゃないんだね」と言われたら、彼らは気分を害してしまったり、悲しい気持ちになりかねません。

言っている本人としては、オネエじゃなくて良かったなど、そういった意味を込めて言っていたとしても、ゲイの当事者でオネエでない方々はそういった偏見に辟易している事もあり、仮に褒め言葉として伝えていたとしても、言うべきではありません。

男なら誰でも良いと勘違い

「オレ、そういうのNGだから」
「オレ、そっちの気はないから」

これもゲイにまつわる勘違いとして多くあり、カミングアウトしている当事者なら1度くらいは言われた事があるのではないでしょうか。

遠回しに言っているため、配慮があるようにも感じますが、少し穿って裏を返して言うなら、「オレ、ゲイとは恋愛とか絶対無理だから」という言葉になるでしょうか。

ゲイにまつわる勘違いの多くとして、相手が男なら誰でも恋愛対象と思っている方が多くいます。

当然ながら、これは全くもって大きな勘違いです。
女性が好きな男性が、女性なら誰でも恋愛対象にならないのと同じで、ゲイも男性なら誰でもというわけではありません。

こういった発言は、テレビなどでもギャグなどの一環として使われたりし、「あれ?オレ狙われてる?」といったシーンで使われますが、間違いなくゲイの当事者は傷付き悲しくなります。

ゲイバーに遊びに行って、一度くらいバーのママから「あんた、かっこいいわね」などと言われたことがあるのかもしれません。
でもそれはほとんどの場合リップサービスで、本音ではないと考えて良いと思います。

そうしたお世辞を真に受けて「俺はゲイにモテる」と勘違いしてしまうと、痛いノンケの発言のように感じてしまう当事者もいるかもしれません。

ポイント2. 決めつけ

これもテレビなどの影響も大きいかもしれませんが、ゲイ=○○というイメージを固定観念として抱いてしまう方が多いです。

ゲイに見えない

「ゲイに見えないね」という言葉も、カミングアウトしている方だと言われた事がある言葉かもしれません。
ですが、先ほども書いたようにオネエ言葉を使ったり、テレビのようなイメージが先行しすぎてゲイがそういうイメージで固まったノンケの方が多いです。

少なく見積もって人口の5パーセントがLGBT当事者と言われています。
その中でゲイが1%~2%だったとしても、日本国内には全人口1億2,000万人のうち200万人ほどのゲイがいる計算になります。

そもそも論で、大阪に住んでいる方が全員お笑いのようにボケてオチのある話をするわけではないのと同じように、200万人ほどのゲイの人々が似たような外見や雰囲気を持ち合わせているはずがありません。

テレビや先入観などから「ゲイはオネエっぽい」とか「ゲイは短髪でマッチョ」といった感じにゲイを認識しているように感じます。

実際にそういったゲイの方もいます。
しかしながら、それらは多数派というわけではなく目立っているため多数派に見えてしまうだけなのです。

そもそもゲイというのは、あくまで「性的指向」の話であって、外見や性格に雛形があるわけがありません。

「ゲイに見えないね」という言葉は、多くの場合褒め言葉で言っている方が多いです。
しかしながら、それは裏を返せば、“ゲイっぽく見えたらいけない”という事なのかなとゲイは感じてしまいます。

「男っぽくないね」とか「女っぽくないね」と言われて、あまり嬉しく感じない人が多いことを考えれば、言ってはいけない言葉だと理解いただけるのではないでしょうか。

美意識や女子力が高い

これもよく言われる完全にステレオタイプの勘違いです。
ゲイは男性が好き → 女性と同じ → 男性に好かれるために美や健康に気を遣うという図式のようですが、大きな誤りです。

もちろんそういうゲイもいるとは思いますが、これも全員のゲイに当てはまる訳ではありません。
もっと言えば、男性で美や健康などに意識を高く持っている方はたくさんいますし、メンズ化粧品が市場として拡大していることからもわかります。

また、今の時代は1つの発言が思わぬ問題にもなりかねません。
場をなごましたりするために発言する言葉でも、会社や組織の中であればそれは一種のハラスメントにもなりかねません。

「女子より女子力高いね」や「女子より女子力高そう」などもよくゲイにまつわる言葉で言われたりしますが、もはやちょっとしたハラスメントと受け取られかねない発言かもしれません。

もっと言えば、ハラスメントであろうとなかろうと、相応しい言葉ではありません。
あなたが女性だったとして、男性から「男より男っぽいね」と言われて手放しに嬉しくて喜べるかどうかをイメージしてみてください。

ジェンダーやセクシュアリティーに関するトピックは‟信頼の上に成り立っているかなり親しい関係性”の間柄で初めて許されるものだと思います。

例えば、あなたの知っているゲイが料理上手だったり、着ている服がオシャレだったりしたら、単純に「料理上手だね」とか「オシャレだね」と褒めれば良い話で、わざわざ「女子より〜」という枕詞を付ける必要性はありません。

女性と親友になれる

また、女性の中にはゲイのことを‟女性に性的な魅力を感じない一方で女子力が高いだけでなくコミュニケーション能力も秀でているので女子の親友になれる存在”と思っている方がいます。

こういう発言を聞くと、まさに女子側からの一方的な視点だなという印象を受けます。
もちろん、ゲイの中にも「女性といわゆる女子同士のような仲の良さ」を求める人もいますし、実際にゲイと女性が親友というケースも多いです。

一方で、もともと女子に性的な魅力を感じないのがゲイであり、自分の中にある女性らしさに嫌悪感を抱くだけでなく、女性に興味がない、もっと言うなら女性は面倒で好きではないと考えるゲイもいます。

先ほどから書いてきたように、ゲイというのはひとくくりでこうと決められるものではありません。
なので、あくまで相手を見て付き合い方や発言を臨機応変に変えるのがベストではないでしょうか。

ポイント3. 理解がある?

「ゲイに理解があるんだよね」カミングアウトすると、たまにこう言われることがあります。
一昔前ではゲイという言葉すら存在せず嘲笑や侮蔑の対象だったことを考えれば、時代は変わってきたかと思います。

しかしながら、本音を言わせていただけるなら、ゲイに理解があるかどうかは、あくまでゲイの本人側が判断することではないでしょうか。

ゲイやレズビアンではなく、女性が好きな男性が、「オレは女性に対して理解力があるよ」といったことや、男性が好きな女性が「私は男性への理解力が高いよ」という事を言うと、多くの人は何を言ってるんだ?となります。

仮にわかってくれている、理解してくれているとしても、自ら「私はわかっているよ」とアピールしてこられると、ゲイとしてはちょっと引いてしまいかねません。

さらに意地悪な言い方をすると、例えば、未婚の若い女性が聞きもしないうちに「私、赤ちゃんが大好きで、あやし方も上手なんです」と言ってきたら「この子は何をアピールしたいんだろう?」とか「赤ちゃんが好きな自分という見せ方が気に入っているだけなんじゃないか」と思ったりしませんか。

実はゲイに理解がある人かどうか、実はゲイは瞬時にこれらを判断する能力のある人が多いです。

なぜなら、LGBTだとバレたら社会的に抹殺されてしまうかもしれない、と考えるゲイからすると、相手が同性愛に理解があるかどうかを判断することは死活問題に関わることであり生命線なのです。

さりげなくゲイ関係の話題を普段の会話に盛り込んでみたりして、その時の視線や表情の変化などで、この人はゲイに理解があるかどうかは、既にジャッジされている可能性が高いのです。

そういうわけで「ゲイに理解がある」と自ら言うのは、あまり得策とは言えません。

まとめ

ここまで「ゲイに言わない方が良いこと」をお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
ゲイに限ったことではないですが、相手のことを気遣っていない発言は良くないということになると思います。

結局のところ「ゲイは◯◯だよね」などと一般化した発言が好まれないということになるでしょうか。

先にもお伝えしましたが、ゲイはあくまで性的指向の話で、それ以外の部分については全員が一人ひとり違う個性を持っています。
ですが、テレビやマスメディアを通して見るゲイの姿が一般社会ではゲイなんだと認識されがちです。

「男は◯◯」とか「女は◯◯」と決めつけて話を進める人が嫌われるのは、ゲイも同じであって、その人のキャラクターやパーソナリティーを見てあげてください。

そうすれば、LGBTというのは、その人の個性の一つに過ぎないことが分かると思います。
あなたが周りのゲイと円滑な人間関係を築いていただけることを心から願っています。

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この記事を書いた人

いなば

いなば
神奈川県生まれ。小学生の頃から何となくゲイだと気付き、中学高校と男子校で過ごすなかでセクシュアリティーを確信。大学在学中に母親へカミングアウト済み。
20歳で初めて自分以外のゲイと出会う。
相方の海外駐在に伴い、退職して赴任先へ付いていったことも。
生意気で向こう見ずなクソガキ時代から年齢を重ね、徐々に穏やかで楽天的な性格に。元新聞記者で現在はライター・カメラマン・インタビュアーとして活動する東京在住の40代ゲイ。

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