ゲイがカミングアウトをするなら誰からが良いか
家族?友人?筆者の体験談も交えながら解説します

  • 2019.07.01
  • 2019.08.14

ライフ・生活

ゲイの方にとって、カミングアウトというのは常に悩まされる問題です。
既にしているという人もいるでしょうし、一生するつもりがないと考えている人もいるはずです。

実際にカミングアウトするとしても、親なのか兄弟なのか、友人なのか、その中でも同性?異性?と色々な悩みが付きまといます。

カミングアウトはかなりの覚悟を持って臨む人が多いはずです。
だからこそ、最初に、誰にカミングアウトをして伝えるのかというのは非常に重要です。

今回は、実際にゲイだとカミングアウトをするなら、誰からが良いのかというのを筆者の体験談を元に解説していきたいと思います。

カミングアウトして救われた

大学時代、ゲイであることを絶対に知られてはいけないと周囲に秘密にする一方、本当の自分を知ってもらいたいと考え、同じゼミで懇意にしてもらっていた一学年上の先輩女性に思い切ってカミングアウトしました。

どういう結果になるのか不安と期待が入り混じるなか、彼女の

「今までずっと誰にも言えずに辛かったね。
誰が誰を好きになっても良いと私は思う。応援しているからね」

という癒しの言葉が、罪悪感を抱えていた自分を許し、ゲイである自分を受け入れるきっかけになりました。

カミングアウトは偏見のない異性に

ゲイであることをカミングアウトするなら、まずは「ゲイに偏見の無い異性」にしてみましょう。
それも「お互いに恋心を抱いておらず、人として信頼関係を築き上げている相手」がベストです。

なぜでしょうか?
その理由を紐解いていきたいと思います。

カミングアウトとは?

カミングアウトという言葉を聞いたことがありますか?

LGBTという言葉とともに世の中に浸透しつつありますが、デジタル大辞泉によると

  1. 公表すること。人に知られたくないことを告白すること。
  2. 同性愛者であることを公言すること。
  3. 性同一性障害者が、自分がそうであると告白すること

と定義されています。

平たく言うと「自分の性的指向を明らかにする」ということになり、芸能人をはじめスポーツ選手や政治家など有名人によるカミングアウトがニュースとして取り上げられる世の中になりました。

カミングアウトへの経緯

今回は前述の3項目のうち同性愛者、特にゲイがカミングアウトすることに焦点を絞ってお伝えしたいと思います。

多くのゲイが10代から20代にかけて自身の性的指向を認識するように、筆者も中学生の頃には自分が異性ではなく同性に惹かれると知っていましたが、それがどういうことなのか、はっきりとは認識していませんでした。

自分の同性に対する気持ちが友情ではなく愛情であり、自分が同性愛者であると認識し始めたのは高校生になってからだったと思います。

しかし、周囲の友達は(おそらく)全員が異性愛者であったこと、同性愛者が社会的に認知されていないことに加え、性的倒錯者として差別される存在であると知っていたため、「ゲイであることは絶対誰にも知られてはいけない」と考え、異性愛者を装って学生時代を過ごしました。

多感な時期だったこともあり、同じクラスの男子やアルバイト先の先輩に恋心を抱いていたのにもかかわらず、相手に告白できないばかりか、自分の気持ちを誰にも相談できない状況。

フラストレーションが溜まるととともに「なぜゲイに生まれたのだろう?」と、大げさに言うと自分の運命を呪うような日々で、唯一、包み隠さずに自分の思いを伝えられる相手は日記だけでした。

そんななか、大学生になると次第に「ゲイであることも含め、自分が本当に思っていることを誰かに伝えられたらどんなに心が楽になるだろうか」と思うようになりました。

「ゲイであることは絶対に秘密にしなければならない」という高校生の頃の思いも持ち続けていながら、「誰か理解のある人、それも口の固い人にだけはカミングアウトしても良いのでは」という考えが芽生え始めていたのです。

誰にカミングアウトするべきか?

同時にこんな疑問や不安が浮かんできました。

  • そもそも一体誰にカミングアウトしたら良いのだろう?
  • もしカミングアウトした相手から”気持ち悪い”などと拒絶されたらどうしよう?
  • カミングアウトした相手が、周りに吹聴したらどうしよう?
  • 友達が自分から離れて行ってしまったらどうしよう?
  • 悪質ないやがらせを受けたらどうしよう?

これらは20歳そこそこの青年にとって、答えを出すのが大変な難問ばかり。
そこで名付けるなら「カミングアウトする相手オーディション」なるものを密かにスタートしました。

どういうことか?

カミングアウトした場合、求めているのは相手からの理解や賛同、共感であり、最も恐れているのは自分やゲイ全般に対する非難や拒絶ということは分かっていたので「欲しいものを与えてくれ、欲しくないものを投げつけてこない人」を探すことにしたのです。

周囲の同性愛に対する許容度を調査

最初にしたのは「ゲイや同性愛に対する許容度調査」です。
カミングアウトするのに最も避けなくてはいけないのは、ゲイや同性愛に嫌悪感を示す相手。

とはいえ、唐突に「ゲイってどう思う?」「同性愛って気持ち悪いかな?」などと聞いてしまうと、相手から「こいつもしかしたらゲイなんじゃ?」という疑惑を持たれてしまいます。

そこで男女問わず、友人たちと話していて「恋愛」や「テレビに出ているオネエタレント」の話題が上がったとき、それとなく「男同士や女同士で付き合っている人もいる」などと一言付け加えたりして、それに対する相手の反応を見たのです。

女性は肯定的な割合が高い

するとあることが分かってきました。

男友達の大半がゲイに対して「気持ち悪い」「考えただけで吐き気がする」「自分が性的対象として見られたら怖い」など否定的な考えを持っているか、「頭がおかしい」「精神的に何か問題がある」など病的な存在として捉えていることがハッキリしたのです。

一方で、女友達はというと、「気持ち悪い」という声が一定数あったものの、「別にいいんじゃない」「好きな気持ちに性別は関係ない」といった肯定的な意見や、なかには「知り合いにゲイがいるけど仲良くしてるよ」「私の友達に女同士で付き合ってる子いるよ」など(当時の筆者にとって)衝撃的な事実を教えてくれる子もいました。

「なぜ(自分の周りの)女子は男子より同性愛に対する許容度が高いのだろうか?」と不思議でしたが、多くの人へのヒアリングから、カミングアウトする相手は男性ではなく女性にするべきだと学びました。

まず誰にカミングアウトするべきか

次に考えたのは、同性愛に対して肯定的な考えを持っている女友達のうち、誰にカミングアウトするべきかということ。

いくらゲイに許容度が高いといっても、「◯◯くん、実はゲイなんだってさ」「好きなのは△△くんらしいよ」などと吹聴され、男友達に耳にも入ってしまったら、わざわざ女性を選んだ意味がありません。

いろいろと考えた末に出した結論は「自分も同じように相手の悩みごと共有していれば、ゲイであることを誰にもバラされないのではないか。それも恋愛絡みのことであれば尚更良いのではないか」ということが頭をよぎりました。

そのときに浮かんだのが、ゼミで毎週会っている一年上の先輩の存在で、ゲイに偏見が全く無いことは前述の調査から分かっていました。

彼女はゼミ内の男子と付き合っていて、相手は筆者と同学年かつ男友達であるA。
筆者とAと仲が良いこともあり、その先輩からは「Aにはどういうプレゼントをしたら喜んでくれるかな?」など、よく恋愛相談を受けていました。

ある日、「実は僕の方も先輩にちょっと聞いてもらいたいことがあるのですが」と話してみると「もちろんいいよ、どうしたの?」と心配してくれ、後日、ファミレスで会うこととなりました。

カミングアウトした結果、、、

そして当日。
当たり障りのない雑談のあと、自分がゲイであること、ゼミ内に好きな男子がいることをカミングアウトしました。

すると彼女は

今までずっと誰にも言えずに辛かったね。

誰が誰を好きになっても良いと私は思う。

その恋愛が上手くいくかどうかは分からないけど、心の中で応援しているからね。

と、長らく心待ちにしていた言葉を贈ってくれたのです。

結局、自分の恋心が成就することはありませんでしたが、「少なくとも一人は自分の本当の姿を理解してくれる人がこの世の中にいる」と知ることができ、彼女から勇気付けられたのは事実で、今でも感謝しています。

カミングアウトを成功されるポイント

さて、このカミングアウトが(自分の中で)成功したのには、いくつかのポイントがあります。
まず1つ目は「カミングアウトした相手が、ゲイに偏見がなかった」こと。

やはりゲイに対して嫌悪感を示す相手などには、絶対にカミングアウトをすべきではありません。自分が傷つくのはもちろん、相手にも不快な思いをさせてしまうからです。

2つ目は「お互いに恋愛感情がない」ということ。
女性にカミングアウトする場合、ゲイの方から相手に恋心を抱いていないことは当たり前ですが、女性側からも恋愛感情を持たれていないことも重要です。

なぜなら、もし万が一、女性側が密かな想いを寄せてくれていた場合、彼女の気持ちを傷つけてしまう一方的なカミングアウトになってしまからです。

一方、男性にカミングアウトする場合、「もしかしたら、恋心を抱かれてしまっているのではないか」と相手が考え、「ゲイであることを伝えたい」という純粋な想いが伝わらない可能性があるので、対女性よりもリスクが高くなると言えます。

3つ目は「お互いに人として信頼している」ということ。
極めて個人的なことを伝える訳ですから、異性愛者か同性愛者であるということよりも前に、まずはお互いに信頼し合える相手であることは重要です。

また、カミングアウトすることは、相手にとって「秘密を守らなければならない」など、少なからず負担になってしまう可能性もあるからです。

この三つの条件が揃っていたとしても、必ずしもカミングアウトが上手くいくとは限りませんが、これらは必要な下地であると思います。

ということで、ゲイをカミングアウトするなら、「ゲイに偏見がなく、恋愛感情はないもののお互いに信頼し合っている異性」にしてみましょう。

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この記事を書いた人

いなば

いなば
神奈川県生まれ。小学生の頃から何となくゲイだと気付き、中学高校と男子校で過ごすなかでセクシュアリティーを確信。大学在学中に母親へカミングアウト済み。
20歳で初めて自分以外のゲイと出会う。
相方の海外駐在に伴い、退職して赴任先へ付いていったことも。
生意気で向こう見ずなクソガキ時代から年齢を重ね、徐々に穏やかで楽天的な性格に。元新聞記者で現在はライター・カメラマン・インタビュアーとして活動する東京在住の40代ゲイ。

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