ゲイの悩み10選+1位はこれ?意外な悩み?
実際のゲイライターがゲイならではの悩みを紹介

  • 2019.07.09
  • 2019.08.14

ライフ・生活

日本人男性の平均寿命が過去最高の81.09歳(2017年調査)を記録し、戦後間もない1947年の50.06歳と比べると30年も人生が長くなりました。
そんな80年もの人生を生き抜くには、たくさんの良いこともある一方で大変なこともあります。

当然、そのなかにはゲイにしか分からない、またはゲイ特有の悩みも存在します。
今回は様々なゲイの悩みについてお伝えするとともに、最も多いと言われる悩みはどんなことなのか、考えてみたいと思います。

その1. 同性を好きになってしまった

当たり前の話ですが、生まれた瞬間に自分がゲイだと自覚する人はいません。
自覚するのは多くのゲイが「同性に性的な興味を持ってしまった」「同性に惹かれている」「同性を好きになってしまった」と感じるときだと言われています。

筆者の場合、小学校高学年の頃にはすでに同性が好きであると自覚していました。

男子がバレンタインデーに「女子からチョコレートをもらえるのだろうか?」と、どこかウキウキそわそわしている一方で、僕は男子にチョコレートをあげたい、もしくは男子からチョコレートをもらいたいと思っていたのです。

そのときはゲイという言葉を知らなかったのですが、どこか自分は他の男子とは違うのだと気付いていました。
このようにゲイが自分をLGBTだと自覚し始めるのは、同性を好きになる瞬間からであることが多いです。

年齢で言えば、早ければ幼稚園や小学校の頃から、遅くても高校生や大学生など10代のうちに気付く人が多数派。
ということは、人生80年のうち、まだ4分の1も過ぎていないときから、ゲイであるが故の悩みが始まってしまうのです。

その2. 家族や友達に打ち明けられない

男性を好きになってしまった10代のゲイが、その次に思うことは「同性に惹かれている」ことを打ち明けられる人がいない、いわゆるカミングアウトができないということ。

例えば、異性愛者(ノンケ)の男子高校生の場合、周りの親しい友達に「◯◯ちゃんを好きになってしまった」といった感じで悩みを相談できます。

しかし、ゲイの男子高校生は、ノンケの友達に「男を好きになってしまった」なんて打ち明け話は絶対にできないですし、ゲイの友達に相談したいと思っても、そもそも周りに自分以外のゲイがいるかどうか分からないのです。

当然、家族にもそんな話をするわけにもいきません。
そこで、同性に惹かれていること、同性愛者であることを自分の心の中だけで抱え込むことになってしまいます。

その3. 周囲にバレていないか心配

10代後半にもなると、多くの男子が女子に性的な興味を持ち始め、友達同士の会話の中にも「あの子可愛いな」とか「女子と付き合ってみたい」といった話題が多くなり始めます。

そういう会話にゲイが参加している場合、まず考えるのは「おまえ好きな子いるのかよ?」とか「どういう女が好きなんだよ?」と聞かれたときの答えがないということ。

もともと女子に性的な興味がないので、自分で考えても答えを出しづらいのです。
そして答えに戸惑っていると「え?おまえ女に興味ないの?」「もしかしてゲイ?」などの疑惑を掛けられかねないので、異性についての話題には戦々恐々としてしまいます。

ゲイであることが周囲にバレてしまうのは、テストで0点だったことが知られてしまうとか、そんなことの何百倍も恐ろしいことなのです。

その4. ゲイがバレたとき、いじめられたり差別されたりしないか心配

周囲にゲイだとバレてしまうことが怖いのは、いじめられたり差別されたりする可能性があるからです。
LGBTという言葉が世の中に浸透しつつある現在でも、やはり一般的にゲイに対する偏見や差別はまだまだ存在します。

そんななか、今まで友達だと思っていた人間から「おまえゲイなんだろ?まじで気持ち悪い」などと言われたら、自分の居場所を一瞬で失ってしまうばかりでなく、自分の存在意義すら疑ってしまいます。

宝塚大学看護学部の日高庸晴教授が2016年に約1万5千人のLGBTを対象に行った調査では、約6割がいじめを経験。
そのうち、「ホモ・おかま・おとこおんな」などの言葉によるいじめの割合は 63.8%、服を脱がされたという割合は18.3%だったとのこと。

また、少し前のデータになりますが、同教授らが15~24歳の男女約2000人を対象に大阪・ミナミの繁華街で行った街頭調査によると、ゲイやバイセクシャルなど性的マイノリティの男性は、異性愛者の男性と比べて自殺を図るリスクが約5.9倍にもなることが明らかになっています。

この数字を見ても明らかなように、周囲にゲイだとバレてしまうことは、日々の生活が一転してしまうほどの大事件なのです。

その5. 好きな人に告白できない

仮に周囲にゲイであることを上手に隠し続けられたとして、それは家族や友達、同僚や上司との関係の話。

まわりに彼女ができ始めたり、デートし始めたりするなか、多くのゲイは好きな男子がいたとしても「決して伝えることのできない」思いを抱えたまま、悶々とした日々を過ごすことが多いです。

ノンケの友人から「好きな女の子がいるけど、なかなか告白できない」なんて悩みを打ち明けられ、「頑張れよ!」と応援しつつも「お前は仮に振られても、いじめられたり差別されたりすることもないんだから、何の問題もないだろ」と思ったりするのです。

著者は大学生のとき、後先のことを考えずバイト先の先輩に告白したのですが、玉砕した上にゲイであることがバイト先に広まってしまった、という苦い経験があります。

なので相手がゲイであると確信できない場合、やはり告白するのはリスクしかないと思っています。

その6. 恋人ができない

好きな人に告白すらできないのですから、当然恋人はできません。
なので恋人を作るためには、ゲイ同士が出会う場所に出て行く勇気を持つか、ネットやアプリなどを駆使して相手を探す努力が必要です。

とはいえ、そういう出会いの場に参加して直面するのは、ゲイ同士でも恋人探しは難しいということ。
自分も含め、ゲイは特に恋人探しにおいては、こだわりの強い人が多いという印象を受けます。

ノンケのように学校や職場で、相手の人柄を知った上で自然と恋に発展することがほとんどなく、恋人を探すときには外見や仕事、趣味などの条件面から選ぶことが多くなるので、なかなか難しいのかもしれません。

その7. 恋人とのデートが簡単にできない

幸いなことに自分にゲイの恋人ができたとしましょう。
そうすると今度は別の悩みが持ち上がります。

どこでデートするか?ということです。
本当は二人でデートスポットに出かけたり、カップルばかりのレストランで食事を楽しんだりしたいところですが、それはとてもハードルが高いこと。

男女のカップルのなかに男同士でいるということは、自分たちを好奇の目にさらすということに他ならないですし、仮に周りのカップルの視線が気にならなかったとしても、リラックスして楽しめるほどの気持ちを持ち続けるのは難しいと言わざるを得ないでしょう。

その結果、デートはお互いの自宅やカラオケボックス、ゲイバーといった個室ばかりということになりかねません。

その8. 住まいが借りられない

恋人ができ、ある程度デートを重ねるようになると「一緒に住んでみたい」と思うのは自然な流れかもしれません。

しかし、ここでも壁が立ちはだかります。
男性同士のカップルでは、住まいを借りることもままならないということ。

  • 男同士で住まなくてはいけないほど、生活に困窮しているのか
  • 片方が出て行った場合、家賃を滞納されてしまうのではないか
  • 何か良くないことに使うとしているのではないか

など不動産会社の立場になってみると、理解できなくもないのですが、世の中は家族や兄弟など親戚同士でもない限り、男二人で住むのには優しくないということです。

その9. 結婚できない

男同士で同棲するためには、家族や兄弟といった親戚関係がないと難しいので、家族になってしまえば良いのではと考えるゲイもいますが、日本では同性婚が認められていません。

国内では同性パートナーシップ証明制度を導入するなど、先進的な試みを取り入れる自治体も出始めていますが、国として民法を改正して同性婚を認める、という段階には至っていないのが現状です。

また、法的な問題が解決したとしても、結婚となると自分だけのことではなく、家族や親戚など多くの人も関係してくることになるので、やはりハードルが高いことに変わりはありません。

その10. 相続できない、病院に立ち会えない

同性婚が認められていないことに関係しているのですが、自分のパートナーが病気を患って入院したとき、法的な家族ではないために病状を知ることができなかったり、病室への立ち入りを拒まれたりすることがあります。

また、長年連れ添ったゲイカップルであったとしても、法的に認められた関係ではないため、基本的には相手の財産を相続することはできません。

なので、自分に何かあったときにため一生懸命働いてお金を貯めたとしても、財産が自分のパートナーにスムーズに相続されるようなシステムは構築されていないのです。

ゲイの悩み一位は「自分を認めてあげられないこと」

ここまで、ゲイが人生80年を生き抜く中で直面する主な悩みを挙げましたが、それでは一番の悩みはなんなのでしょうか。

それは「自分を認めてあげられないこと」だと筆者は考えています。
ゲイであることは、人生をより複雑にする要因の一つかもしれません。

ゲイであることをプラスと考えるのか、背負ってしまった課題と考えるのか、それは人それぞれですが、前述のゲイが抱える悩みなども相まって「自分のことが好きではない」「自分のことが嫌い」「自分は魅力的ではない」と心の奥底で考えるゲイは多いのではないでしょうか。

社会的に認められた存在ではなく、ややもすると周りから煙たがられ、常に本当の自分をどこか隠し続けなければならない。
そんな日々が何年、いや何十年も続くと「自分は存在しないほうが良いのではないか」と考えてしまうゲイもいます。

現在の日本は、ゲイが心地よく生きやすい世の中とは決して言えません。
それが前述のゲイの自殺率にも影響していると言われています。

とはいえ、「自分のことを認めてあげられない」という悩みそのものは、ゲイに限らずノンケの男女にも直面する内容です。

その点だけを考えるなら、純粋に「ゲイの悩み」とは言い切れない部分もあるので、人生で最も大きな悩みは、セクシュアリティにはあまり関係ないのかもしれない、とも考えます。

課題の多い人生かもしれませんが、全てのゲイがより実りの多い日々を過ごせたらと思っています。

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この記事を書いた人

いなば

いなば
神奈川県生まれ。小学生の頃から何となくゲイだと気付き、中学高校と男子校で過ごすなかでセクシュアリティーを確信。大学在学中に母親へカミングアウト済み。
20歳で初めて自分以外のゲイと出会う。
相方の海外駐在に伴い、退職して赴任先へ付いていったことも。
生意気で向こう見ずなクソガキ時代から年齢を重ね、徐々に穏やかで楽天的な性格に。元新聞記者で現在はライター・カメラマン・インタビュアーとして活動する東京在住の40代ゲイ。

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