同性婚活をスタートさせるとき、
親へのゲイカミングアウトどうする?

  • 2021.12.29
  • 2022.01.04

ライフ・生活

ゲイとして生きるにあたり、いつもカミングアウトというデリケートな問題が心を揺さぶります。
カミングアウトをする時期は異なりますが、いわゆる『婚活』を始めたタイミングでゲイである自分をカミングアウトする男性は少なくありません。

今回はなぜそのタイミングでカミングアウトをするのか、について考察していきたいと思います。

婚活&お見合いがカミングアウトをする好機

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パートナー候補とお見合いを行うその一方で、自分がゲイであることを親や家族に伝える、そんな方が増えているそうです。
ここではなぜお見合いという場面でカミングアウトをすべきなのかにクローズアップしていきたいと思います。

お見合いが一つの分岐点になるということ

カミングアウトのタイミングを図るのは難しいですが、お見合い前または後に一つの区切りとしてカミングアウトを済ませる男性がいます。

ここではお見合い前に家族に自身の性指向を伝えた男性の声を紹介しながら、適正なカミングアウトのタイミングを考えていきたいと思います。

決断のきっかけは婚活だった~Aさんの話~

なかなか彼氏と長続きしない、そんな悩みを抱えるAさんが重い腰を挙げて本気の出会いをサポートする婚活サービスに登録したのが29歳の時。
結果から言ってしまうと、Aさんはサービス登録後、初めてのお見合いを前に親兄弟へのカミングアウトを行ったといいます。

なぜそのタイミングだったのかという問いについて、Aさんはこう答えます。

「年齢的に20代でなくなるというタイミングが出会いの可能性を一気に縮める、そんな無意識のフィルターがあったような気がします。
だからこそ、そんな呪縛から逃れて、新しい気持ちでパートナー探しをしたいと思い、思い切って親と弟へのカミングアウトをしたんです」

そう微笑むAさん。正直怖い思いもあったそうですが、なかなか彼氏が見つからず、やっと付き合っても直ぐに自然消滅してしまう自分、また年齢的な焦りを断ち切る為にもカミングアウトをすることになりました。

きっとAさん同様の考えを持つ男性は多いのではないでしょうか。

理解してもらえるかどうか、イチかバチかの博打的な要素はいつもカミングアウトに付随しますが、それを伝える為のきっかけがお見合いであった、ただそれだけと振り返ります。

初回のお見合いでは残念ながら次へのステップに繋がらなかったそうですが、晴れ晴れした気分でお見合いを終えることができ、家族からは次があるとポンと背中を押されたそうです。(Aさん、家族から理解されて良かったですね!)

タイミング以上に自分自身や周囲の環境をまずは客観視しよう

カミングアウトに適したタイミングというものは、それぞれ異なります。
そのきっかけが失恋であったり、年齢的なものであったり、例えばお酒の席で酔っ払ったことが勢いとなりスイッチが入ったというケースもあります。

傾向として婚活サービス入会後、お見合いの前後にカミングアウトをする男性が増えていますが、だからといって必ずしもそれがあなたにとってベストなタイミングとは限りません。

まずカミングアウトをする為の土壌が整っているかを、まずは確認することが先決です。

  1. 資格取得や試験などキャリアに繋がる重要な場面が迫っていないか
  2. 仕事が多忙すぎないか
  3. 回りにフォローしてくれる親友や知人はいるのか
  4. そもそも家族LGBTQに対して偏見を持っていないのか
  5. 宗教的な背景

ここで挙げている項目はあくまで一例に過ぎませんが、性指向というデリケートな問題をカミングアウトするのは、自分だけでなく、家族や親戚にも大きな心的影響やプレッシャーを与えかねません。

「なんとなくわかっていたよ」と理解を示す親もいれば、突き放す親もいる。
それぞれの価値観は揺るがしようがないので、まず様々な視点でカミングアウトができる環境が整っているのかを客観視することが大切です。

お見合いの前後はカミングアウトを促す一つのトリガーになりますが、向こう見ずに自分の思いを一方的に伝えるのではなく、TPOを踏まえた上で自分にGoサインを出す。

そしてネガティブな反応が出ても、それでも受け入れられる自分の器、またはフォローしてくれる周囲の助けがあるのかまでを考える必要が出てきます。

お見合いを見据えて家族にカミングアウトするメリット

自分の性指向を伝えることにはどうにもこうにも臆病になりがちです。
しかしお見合いという場で前向きに男性と出会う為には、家族の理解や支えは大きな糧になっていくはず。

ここではカミングアウトを通して得られる、メリットについて一緒に考えてみましょう。

親からのバックアップが得られる

前項でお話を聞いたAさんの体験談からも分かる通り、親や兄弟姉妹からの理解が得られると、出会いについても比較的柔軟に応援してくれるケースは少なくありません。

カミングアウトするまでの勇気は非常に大きなものが必要になりますが、一度伝えてしまえば精神的にも大きな荷が下ります。

母親からの「この人はいいんじゃない?」だとか、妹からの「新しい彼氏はどんな人?」など、パートナーについて気にかけて貰えることは大きな心の支えになるはずです。

お見合いが必ず成就するわけではありませんが、出会いの一喜一憂を家族と分かちあることは一人の男性としても嬉しいですよね。

パートナーと家族ぐるみの付き合いができる

理解が進んだ社会において、お互いまたは片方の家族との付き合いが深まることで、より深い繋がりを感じられるようになります。

クローゼットが当たり前だった時代は過ぎ去り、昨今は親の介護や老後の為にと互いの実家を行き来したり、どちらかの実家近くに引っ越して世話をするゲイカップルも多いそうです。

閉鎖的な考え方や環境にいる家族を持っている方は少なくないはずです。
必ずしもお見合い前後でカミングアウトをすることがベストではありませんし、真実を伝えることでギクシャクすることもあるかもしれません。

しかしながら本気でパートナーを探したいという気持ちが沸いたその時は、カミングアウトを通してケジメをつけ、新たな気持ちで出会いを探してみてはいかがでしょうか。

まとめ

何事もタイミングというものは人生において成功するか失敗するかを左右する大切な時間との戦いです。

ゲイである自分を家族に伝えるカミングアウトに関しても、そのタイミングは重要になり、尚且つ自分自身の環境によってはそれが推奨されない場合も考えられます。

しかしある程度の環境が整った状態で、婚活を一つの区切りとして捉えて、カミングアウトの場に消化していくことは理にかなった手順と言えます。

自分の親や世間体など様々な要素を考慮する必要こそありますが、うやむやにしていたカミングアウトの時期をお見合い前後に合わせるのは良いアイデアだと思います。

必ずしもポジティブな反応が返ってくる保証はありません。しかしどちらにしても、カミングアウトをした事実が一つのケジメとなり、新しいステップを踏み出す一歩になることでしょう。

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この記事を書いた人

橋本ウサ太郎

橋本ウサ太郎
新宿二丁目の元バーマネジャー、海外放浪の末、年下スペイン人男性と同性婚。
スペインの田舎町で悶々とした日々を送りながら平和に暮らすゲイ。
アメリカでの代理母出産により二人パパになる予定の三十路ライター。
好きな言葉は、「ペンは剣よりも強し」。

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