ゲイにとってカミングアウトは大きなもの。
カミングアウトをする際に心がけておきたいこと

カミングアウトという言葉、最近ではテレビなどでも聞かれるようになりましたが、実際にカミングアウトの状況に直面したことのある人はどのくらいいるのでしょうか。

カミングアウトというのは、辞書から引用すると自分が、“社会一般に誤解や偏見を受けている(同性愛者などの)少数派の主義・立場であることを公表すること”(大辞林第三版)と定義されています。

簡単に言うと「自分はゲイです」と相手に告げること、になると思います。

このカミングアウトですが、行動に移すのは本当に勇気のいること。
そこで今回は、ゲイがカミングアウトするときに心がけておくことについてお伝えしたいと思います。

カミングアウトするのは性的少数者だけ

そもそもゲイ(を含めた性的少数者、LGBT)はなぜカミングアウトするのでしょうか?
仮にあなたが男性の異性愛者だとしたら、わざわざ誰かに「実は自分は女の子が好きなんだ」と周りに伝えたりするでしょうか。

もちろん、しないはずです。
世の中の多くの男性が女性を好きなことは周知の事実であって、それをいちいち誰かに告げたりしないですよね。

でもゲイは自分の恋愛対象が同性であることを周囲に伝えるべきなのか、つまりカミングアウトするかどうかですごく悩まなければいけない。
ノンケ(異性愛者)であれば、わざわざ性的指向をカミングアウトすることはないのに、ゲイにはそうしたことが付きまとうのです。

ゲイがカミングアウトする理由

カミングアウトするのかどうかは、個人の価値観やライフスタイルに関わってくる大きな問題ですが、周囲に自分の性的指向を伝えるゲイは一定数いて、LGBTが世の中で認められつつある現在では、増えつつあるとも言われています。

その理由は「本当の自分を知ってもらって、その上で相手に認めてもらいたい、受け入れてもらいたい」からです。

ほとんどのゲイは、自分の性的指向に気づいたときに戸惑います。

  1. 自分は男なのに男が好きみたいだ、これはどういうことなのか?
  2. 自分は病気なのだろうか?
  3. なぜこんなことになってしまったのだろうか?
  4. どうしたらこれを治すことができるのだろうか?

など、次から次へと疑問が溢れ出てきます。

共通しているのは「この事実は、絶対に誰にも言えない」と考えてしまうこと。
同時に「友達や家族、同僚の前では異性が好きなフリをしなくてはいけない」と思うようになります。

誰かと一緒にいるときは常に自分ではない誰かを演じ続けることになるのです。
俳優や女優を職業としている人でさえ、ドラマや映画で「カット」の声で演じることを止め、舞台を降りたら自分に戻ることができるのに、ゲイはいつでも「女好きの自分」という役回りを延々とやり続けるのです。

その結果、どうなるか。
演じ続ける自分に疲れ果ててしまうだけでなく、常に周りに嘘をついている自分に嫌気がさしたり、罪悪感を持ってしまうようになったりするゲイが多いです。

心が純粋で素直な人や、一本気で真っ直ぐな人ほど、その傾向が強いのではないでしょうか。
そしていつしか「誰か一人くらいには、本当の自分のことを知ってもらいたい」「本当の自分を受け入れてもらいたい」と考えるようになり、カミングアウトが頭をよぎるようになるのです。

ゲイは誰にカミングアウトしたら良いのか?

誰かにカミングアウトしたい、と考えたゲイが次に考えるのは「いったい誰にカミングアウトしたら良いのだろうか?」ということ。
それまで何年もの長い時間、自分の心の中だけに留めていた大きな秘密ですから、誰にでも伝えられるはずがありません。

いったい誰に伝えれば良いのか

会社の同僚や先輩はどうか?
いやいや、職場でゲイだとバレたら仕事がしづらくなるし、変な色眼鏡で見られたら働きづらくなるに決まっている。

学生時代の仲間はどうか?
今さらそんなことを伝えたら、今後の関係にヒビが入るかもしれないし、もしかしたら「俺たちを騙していたのか」と言われてしまうかもしれない。

家族はどうだろう?
母親は「じゃあ孫の顔が見られないのね」と悲しむかもしれないし、父親は「そんな女々しい男に育てたつもりはない」なんて怒るかもしれないから言えるわけない。

段々と選択肢が狭まっていき、最終的には「信頼を置いている人」という漠然とした結論になるでしょう。

つまり、カミングアウトするためのベストな相手というのはいない。
大事なのは誰にカミングアウトするかというより、どのようにカミングアウトするかが重要なのだと言えるのだと思います。

カミングアウトするうえで重要な点

それでは、カミングアウトするうえで重要な点はどんなことでしょうか。

相手の反応を必要以上に気にしすぎない

あなたがカミングアウトすると決めたのは誰でしょうか。
両親かもしれないし、親友かもしれないし、信頼している先輩や幼馴染み、女友達。

いずれにしても、自身が信頼を置いている相手という可能性が高いことと思います。

信頼している相手であればあるほど、相手の反応が怖く感じるのは当然のこと。
「受け入れてもらえなかったらどうしよう」と悲観してしまうこともあるでしょう。

でも、カミングアウトすると決めたら腹を据えて「受け入れられなくてもしょうがない」というくらいの気持ちで臨むことが大切です。
誰もが今まで自分が生まれ育った環境で培ってきた価値観を重要視している部分があり、違った価値観を受け入れることはとても難しいことなのです。

そして、依然としてLGBTに対する偏見が存在するのもまた事実です。
あなたにももしかするとセクシュアリティとは違った側面で、他人の受け入れづらい個性というのが多かれ少なかれあるのではないでしょうか。

ですから、受け入れられなかった場合でも、「そういう人もいるよね」「いろんな人がいるよね」という気持ちで受け止めましょう。

あなたはあなたであって、他の誰に否定されるものではありません。
相手の反応によって自己否定をしない、ということが何より大切なのです。

カミングアウトはゴールではない

カミングアウトがゴールだと考えてしまうと、受け入れられなかったときに前に進めなくってしまいます。
たとえ受け入れられなくてもそれはただのひとつの通過点。

決して焦らず、自暴自棄にならず、ゆっくりゆっくりとまた受け入れてくれる相手を探していけばいいのです。

また、受け入れられたとしても、「わかってくれたはずだよね?」という強気な態度で自分のセクシュアリティを一気にさらけ出してしまうと、相手の気持ちが付いていかないということもあります。

受け入れてくれた相手は、あなたを傷つけたくない一心で、一生懸命あなたを理解しようとしているのかもしれません。
相手が自分を思いやってくれるのと同じように、自分自身もカミングアウトした相手を思いやり、新たな第一歩にしてほしいと思います。

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この記事を書いた人

いなば

いなば
神奈川県生まれ。小学生の頃から何となくゲイだと気付き、中学高校と男子校で過ごすなかでセクシュアリティーを確信。大学在学中に母親へカミングアウト済み。
20歳で初めて自分以外のゲイと出会う。
相方の海外駐在に伴い、退職して赴任先へ付いていったことも。
生意気で向こう見ずなクソガキ時代から年齢を重ね、徐々に穏やかで楽天的な性格に。元新聞記者で現在はライター・カメラマン・インタビュアーとして活動する東京在住の40代ゲイ。

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