LGBTQ+でも入れる?
安心を形にする保険の選択&活用術

人生において、最も大切なパートナーがもしもの時に備えて保険があることは、大きな安心に繋がります。「お金がすべてではない」とはいえ、経済的な備えは愛する人を守るための重要な手段の一つです。

「LGBTQ+でも入れる保険はあるのだろうか」「法律婚の夫婦と同じようにパートナーを守れるのだろうか」といった疑問や不安を抱えている方も多いでしょう。

この記事では、LGBTQ+の方々が将来の不安を軽くするために、生命保険を選ぶ際のポイントと、その活用術について詳しく解説します。

生命保険は「将来の不安を軽くする」大切な手段

生命保険はLGBTQ+の皆さんが将来の不安を軽くするための非常に重要な手段となり得ます。現在、保険会社の定める規定や書類提出を満たすことができれば、同性パートナーを死亡保険金の受取人に指定できるケースが急増しています。

これは、自治体のパートナーシップ制度導入の広がりを背景に、保険会社側のLGBTQ+への理解が進んでいるためです。

もし、保険について何から手をつけていいか分からない場合はまず、LGBTQ+への理解がある保険の専門家に相談してみることを強くおすすめします。

加入できる保険は増加中!具体的な進展

同性パートナーを死亡保険金の受取人に指定できる保険会社は、大手を中心に増加傾向にあります。

手続きの多様化

手続き方法は保険会社により異なります。
自治体が発行するパートナーシップ証明書の提出で円滑に進むケースもあれば、住民票や誓約書などの提出、さらには確認面談が必要となる場合もあります。

もしもの時にパートナーにお金を遺す手段として検討する際は、各社の条件を調べてみましょう。

相談しやすい環境の整備

当事者であることを打ち明けるのは勇気がいることです。
しかし、同性パートナーを受取人にできる保険会社では、LGBTQ+への理解を深めるための社員研修が行われ、専用の相談窓口を開設するなどの対応が進んでいます。

保険料や保障内容だけでなく、「相談しやすい環境であるか」という視点で会社を選ぶことも大切です。

インターネット申込みの増加

近年、インターネットで申し込みが完結する商品が増えており、直接対面せずに手続きを進められるため、精神的な負担を軽くすることができます。

同性パートナーを受取人にする際に気をつけたいこと

同性パートナーを死亡保険金の受取人に指定できるようになった一方で、法律婚の配偶者と比較すると、税制面などで不利になったり、不都合な場面に遭遇したりする可能性は残されています。

1. 生命保険料控除の対象外となる

税法上、生命保険料控除の対象となる保険契約は、「保険金等の受取人のすべてをその保険料等の払込みをする方、又はその配偶者その他の親族とするもの」と定められています。

そのため、同性パートナーを死亡保険金の受取人に指定した場合、生命保険料控除の対象にはなれません。保険料の支払いから、所得税や住民税の負担軽減の恩恵を受けられない点に注意が必要です。

2. 保険金額に上限が設定されることがある

保険会社によっては、同性パートナーとの同居期間や戸籍上の配偶者の有無といった条件により、保険金額に上限が設定されることがあります。

必要な条件を満たしていないと契約できない可能性も考えられるため、申し込み前に各社の条件をよく確認しておきましょう。

3. 指定代理請求人に指定できないことがある

指定代理請求人とは、被保険者が病気や事故で意識不明など、自ら保険金や給付金(高度障害給付金など)を請求できない場合に、代わりに請求できる人のことです。

保険会社や同居期間などの条件によっては、同性パートナーを指定代理請求人に指定できない場合があります。

指定可能な場合でも、パートナーシップ証明書などの書類提出や確認面談が必要となることがありますので、事前に確認が必要です。

4. 相続税がかかることがある(税制上の優遇措置の適用外)

相続税には法律婚の配偶者に対する優遇制度がいくつかありますが、同性パートナーはこれらの適用対象外となるため、税負担が大きくなる可能性があります。

配偶者に対する税額の軽減の適用外

法律婚の配偶者は1億6,000万円(または配偶者の法定相続分相当額)までは相続税がかかりません。同性パートナーにはこの制度は適用されません。

死亡保険金の非課税枠の適用外

一般的に、法定相続人が死亡保険金を受け取る場合、「500万円 × 法定相続人の人数」の非課税枠が適用されます。

同性パートナーは法定相続人ではないため、この非課税枠が適用されず、保険金全額が相続税の課税対象となってしまいます。

相続税の2割加算

さらに、保険金の受取人が親族(法定相続人)でない場合、相続税額が2割増しで納税となる規定もあります。

同性パートナーが死亡保険金を受け取る場合は、相続税の負担が大きくなる可能性があるため、必ず税理士等の専門家に相談し、事前に税額シミュレーションをしておくことを強くおすすめします。

性的マイノリティのための生命保険活用例

同性カップルのご相談を受ける際、「保険に加入しないという選択肢もある」とお伝えすることもありますが、生命保険は、法的に守られていない私たちにとって、賢く活用すれば非常に強力なツールとなります。

いくつかの活用例を見ていきましょう。

1. 本当に困っている人がいるときへの備え

同性カップルのどちらかが専業主夫・主婦などで自前収入がない場合など、働くパートナーのもしもの時に備えた保険利用は有効です。

ただし、トランスジェンダーで戸籍変更後に異性パートナーと結婚し、子育てをしているようなケースでも、上記のような税制上の優遇を受けられないことがあります。保険以外のリスク対策も合わせて考える必要があります。

2. 住宅ローンを折半するときの対策

同性カップルのどちらか一方の名義で住宅ローンを組み、負担を折半するケースがあります。

ローン名義者は団体信用生命保険に加入しますが、名義者ではないパートナーにもしものことが起きた場合、名義者は一人でローンの全額を背負うことになります。

このようなリスクに備え、ローン名義者ではない方も、パートナー(ローン名義者)を受取人にした生命保険に加入することが、安心に繋がります。

3. 現金が少ないときの相続対策

相続財産の中身が不動産や換金しづらい株式などで、手元に現預金が乏しい場合、原則現金一括納付の相続税を支払うのが難しくなることがあります。

遺産を受け取るパートナー(相続税納付者)を受取人にした生命保険に加入し、保険金が現金で支払われるようにしておくと、相続税の納税資金を確保する一つの手段となります。

4. 遺留分対策としての利用

遺言書を作成して財産をすべてパートナーに遺贈しようとしても、親御さんがご存命の場合、親には「遺留分」(法定相続人が最低限受け取れる財産)が残ります(兄弟姉妹には遺留分なし)。

この遺留分トラブルを避けるために、親御さんを受取人にした掛け捨て型の生命保険を用意し、その代わりに遺言書で遺留分請求を放棄してもらいたい旨を付言事項として書いておくという方法も考えられます。

親御さんが亡くなれば保険は解約できます。

5. 自分の老後資金用としての利用

保険を一種の自分自身の老後資金用と考え(個人年金保険や養老保険など)、満期前に自分が亡くなった場合はパートナーが受け取れるように設定するという活用法です。

ただし、満期までが長期にわたるため、途中で解約すると返戻金で損をしてしまう可能性があるため、継続することが大切です。

保険選択の第一歩は「相談」から

生命保険会社は、大手をはじめ、LGBTQ+への対応を強化しており、社内での知識や理解を深めるための専用窓口を開設しているところも増えています。

また、社宅においても同性パートナーを家族として認め、貸与するなど、社内制度も改善が進んでいます。

生命保険を検討する際は、まずは保険会社に相談し、同性パートナーが保険金を受け取ることができるか、また、受取人に指定する場合の具体的な条件や税制上の注意点(特に非課税枠の適用外、相続税の2割加算)について必ず確認してください。

最終的には、財産や親族の状況により最適な選択肢は異なります。
自分たちの状況を安心して相談できる税理士やファイナンシャルプランナーなどの専門家に足を運び、トータルで検討するのが最も賢明な方法です。

まとめ

生命保険は、大切なパートナーへの想いを形にする「愛の証」の一つです。
同性パートナーを受取人にできる保険会社が増えたことは大きな進歩ですが、税制上の優遇措置が適用されないなど、法律婚の夫婦との差はまだ残されています。

法律や制度を一人で勉強するのは大変ですが、まずは「保険とは何か」「パートナーのために何ができるか」を考え、少しずつ検索から始めてみるのも良いでしょう。

保険について学ぶ過程は、パートナーへの想いをより深める機会にもなります。
この記事が、皆さんの素敵な暮らしを実現するための「保険」という選択肢をもたらすことを願っています。

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この記事を書いた人

丹野晴雄

丹野晴雄
Japasmライター、エッセイスト
LGBTQ+のみなさんへ向けた、お悩み、不安、いらいらの解消法を執筆。
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