ゲイ男性とFtMの恋愛事情について
FtMとは？からゲイ同士の恋愛の違いを解説

LGBTQという概念は非常にデリケートでなおかつ流動的なもの。

LとG、つまりレズビアン、ゲイに関しては比較的飲み込みやすいですが、実際当事者でもトランスジェンダーのTに理解がなかなか追い付かないという方は多いようです。

トランスジェンダーの中で女性としての性を割り当てられたものの、男性を自認している人をFtM（Female to Male）と呼びます。

今回はありそうでない、それでもしっかりと存在するFtMとゲイの相性、恋愛についてをピックアップ。果たしてゲイ同士の恋愛との相違点はあるのでしょうか？

ゲイとFtMの恋愛はゲイ同士の思考とは異なる視点が必要？

FtMとゲイ男性のお付き合いというのはなかなかゲイ業界でも聞かない組合せかもしれませんね。同じ男性が好きな者同士でも、土俵が異なる性自認のため、その恋愛事情にシンプルさはほぼ皆無です。

皆さんの中でも今後出会いがあるかもしれないFtM男性との恋愛についてを今回はメス入れしていきたいと思うので参考にしてみてくださいね。

FtMの概念の解説から恋愛事情までを考察

FtM男性の中には、驚くほどの美貌を持つ方をよく見かけます。
女性らしい繊細さや、線の細さなどが上手く男性的な容姿に溶け込み、アイドル級のルックスを兼ね備えていたりもします。

ここではそんなFtM男性の定義、そしてゲイ男性との恋愛の可能性についてをお話ししていきたいと思います。

そもそもFtMとは

今回主題にしているFtMとは、簡単に表すならば「心は男性なのに、生まれ持った身体は女性」の人々のことです。

LGBTQのT（トランスジェンダー）とQ（クエッショニング）に関しては、その概念が深くズバリ一言でそれらを明確化できない為分かりにくいのが現状です。

しかしながら身体にメスを入れているかと言えばそうとは限りません。

1. ホルモン治療のみをしている
2. 性別適合手術をしているが、戸籍変更はしていない
3. 性別適合手術後に戸籍変更をしている
4. 内外の医薬治療はしていないボーイッシュな女の子

など一言でFtMと言えど、見た目のパス度や手術の有無、戸籍変更などについては幅があることが特徴です。

共通している事項に関して考えると、自分の心と身体の性別が一致していないということです。その違和感に関してもそれこそ十人十色なので、FtM男性についても一言では片づけられない複雑さが生じてしまうわけですね。

FtMの恋愛対象と性指向

生まれた時は女性でも男性の心を持っているFtM。こう考えれば間違えではありませんね。つまるところ男性としての意思や恋愛観に基づくならば、必然的に女性が恋愛対象になるのかと思ってしまう方が大半でしょうか。

しかし実際蓋を開けるとそうシンプルなものではなく、FtMのゲイというパターンもあるわけです。身体は女で生まれて、心は男。もしその状態で女性が恋愛対象ならばFtMのストレートになり、男性に恋愛感情を持つならばFtMのゲイになるわけです。

ややこしいですがFtMで男性に恋心を抱く人は少なくなく、その中の恋愛選択肢としてゲイ男性が候補になります。

その理由としてはストレート男性の場合は、そもそもFtMのゲイという概念に頭が混乱してしまうからでしょう。元は女の子なんだから単なる中性的な女性と処理されてしまい、デリケートな性指向を理解できないことが多いようです。

一方でゲイ男性はというと、当事者がゆえに性自認、性指向という問題についても理解があり、お付き合いについても比較的カジュアルにできると考えられます。

生まれながらの男性ではありませんが、心の指向をしっかり汲んだ上でFtM男性と付き合っているゲイ男性は数こそ少ないもののいるものです。

FtMはMtFを好む？

また一つの事実として挙げるとすれば、FtMのゲイ男性の恋愛を考察してみると、似た者同士の恋愛関係を臨む傾向があります。

要するに恋愛の相手としてMtF （Male to Female）のストレートを選ぶということですね。横文字ばかりで頭がこんがらがってしまいますが、トランスジェンダー同士、心の葛藤を埋められるような相手に安心感を求めてしまうのでしょうか。

LGBTQの世界では性自認が細かく分類されているので、例えば出会いの場の一つであるオンラインデーティングサイトや掲示板、アプリなどでもMtFで検索にかけて相手を選ぶ方が少なくないようです。

もしもFtM男性と付き合うなら？覚えておきたい恋愛のイロハ

生粋のゲイ同士の恋愛とは異なるFtM男性とのお付き合い。
実際当事者としてFtMと恋愛をしているゲイの方は少ないですが、ここで交際をする上で覚えておきたい事情についてを解説していきます。

ゲイ男性とFtMの恋愛での躓きポイント

ここで本題に入りたいと思います。
まず頭に入れなければならないことは、全てのゲイ男性がFtM男性を恋愛対象に入れていないということです。

どこからどう見ても男、紳士的であり身体も鍛えていて、同性にも異性にもモテるようなFtMであっても、やはり女性として生まれたというフィルターが恋愛の可能性を狭めてしまうのです。

その辺りの許容具合に関してはもはや人それぞれの物差しでしか考えられません。
ここでゲイ男性が感じてしまう不安ポイントを整理していきましょう。

• 性愛に関する不安や心配
• 周囲の理解を得るのが難しい関係性である
• パス度の問題で、女性らしさが見えてしまう
  （自らが認識している性自認が、外見上第三者から認識されているかどうかを表す度数）
• 抜けない女性的な気遣いや配慮に違和感を覚える

好みや性格の一致から、FtM男性と交際をスタートするゲイ男性はいますが、付き合いを重ねていくと、生まれながらの男として育ったゲイの価値観や性格、性欲などとは異なる感覚に迷いを覚えるものです。

例えば男性にも興味があるほぼストレートの男性が、ゲイ男性との交際の中で気持ちに折り合いが付かなかったり、バイ男性が女性と比べてしまったりするのと同様で、意識・メンタル面でしっくりこないことは避けられないのかもしれません。

異なる性自認の二人が幸せになる為にできること

難易度は高めですが、FtMとゲイ男性も互いに尊敬しあい、ある種の配慮に工夫を重ねることで二人の関係性を強固にすることは可能です。
ここではゲイ男性の目線で、日々の生活で注意したいポイントをいくつかご紹介していくので、是非参考にしてみてください。

1. 相手が持つであろうコンプレックスの理解に努める
2. 他のゲイ、過去の彼氏と比べない
3. FtM男性の身体の状態に合わせた性行為を工夫する
4. 繊細な性指向を一方的に周囲へカミングアウトしない

文字で語れば極々当たり前の気遣いに見えますが、実際にお付き合いをしてみると意識を傾けなければなかなか実行できないものです。

まずFtM男性は、男性に見えるか否かの通用度に対して神経質になりがちです。
その点をしっかり把握した上でのフォロー、周りと比べない思いやりを持つことは必須事項かもしれません。

アウティングと捉えられてしまうような、何となしの周囲への相談に関してもFtM当事者は強烈な嫌悪感を見せる場合があるので注意してください。

またお付き合いする上で避けては通れない、ベッドの上での事情に関しても、FtM男性の身体の具合や希望をしっかり汲む必要があります。

ホルモン投与をしていない場合に関しては、女性気質が抜けきらずに物理的な快楽というよりも、精神的な結びつきを重視する傾向が高いことも覚えておきましょう。

まとめ

ゲイとFtMの恋愛関係、正直なところあまり聞いたことがないという方がほとんどだったと思います。
しかし出会いはいつも偶然に見せかけて必然。いつ何時どこからかイケメンが登場し、実はFtM男性に恋をしていたなんていうシーンがないとは言い切れません。

男性が好きという性指向が同じであっても、FtMは気持ちはさておき身体や戸籍の関係上、あるものがある、ないなどのグラデーションが生じるものです。

私達ゲイ男性の知識が追い付かないと、見た目に身体も男性ならばイコール普通のゲイ男性と勘違いしてしまうかもしれません。

しかし想像しがたいような葛藤に身体へのメス入れなどを経験しているケースも少なくないので、恋愛を育む上でも彼らへの気遣いや理解への努力は忘れないようにしましょう。