浮気とは何が違って嫉妬はしないのか。
ゲイの「オープンリレーションシップ」について。

  • 2020.05.02

恋愛・結婚

ゲイ同士の交際において、オープンリレーションシップで恋愛を楽しむカップルをよく見かけます。
その定義をご存知の方もいると思いますが、大部分の方は分かるようで分からない、そんな曖昧な認識で捉えている方がほとんどではないでしょうか?

今回は男性同士の恋愛で話題になりがちなオープンリレーションシップという愛し方について検証していきたいと思います。
まずはその意味、関係性をしっかり理解することから始めていきましょう。

無理!?それとも容認?ゲイ男性間のオープンリレーションシップとは?

オープンリレーションシップ、日本語に翻訳すると「開かれた関係」です。

何となく自由な恋愛を楽しむそんなスタンスなのかな?と想像が付きますが、ここではまずオープンリレーションシップの定義についてわかりやすく解説していきたいと思います。

そこに愛があるから浮気じゃない!オープンリレーションシップの定義

オープンリレーションシップとは、恋愛関係にあるまたは婚姻関係にあるカップルが、互いの同意と了解を経て、精神的または肉体的な関係を第三者と結ぶことです。

カップルの愛情は継続しながらも、各々が自由な恋愛やセックスを行うモダンな愛情関係であり、スタイリッシュな恋愛と欧米ではメジャーになってきているのです。

この合意は必ずしもゲイ同士である必要はなく、ノンケカップルでも、女性とゲイの友情結婚など様々な関係性、性別間でオープンリレーションが結ばれています。

この定義を知らなければ、単なる浮気やアダルトなアヴァンチュールと思いがちですが、オープンリレーションシップは浮気であって浮気でない関係。
つまり二人の合意はもとより両者の愛情という絆がベースにある為、第三者と寝たからと言って二人の関係が壊れるわけではないのです。

日本でもオープンリレーションで恋愛を楽しむ方もいますが、その多くはゲイに見られるのは断固とした事実。

次項ではなぜゲイの恋愛がオープンになりやすいのか?という原因、そしてオープンリレーションシップで育まれる愛情をより深く考察していきたいと思います。

ゲイでオープンリレーションシップが支持される訳

ゲイの全てがオープンリレーションシップの関係を望んでいるわけではありません。
しかし悩んだ末にそれを受け入れ、互いをより愛せるようになった、そんなゲイカップルは少なくないのです。

ここではオープンリレーションシップが、なぜゲイカップルに多く見られるのか、そして二人の間にどんな変化を与えるのかについて考えてみたいと思います。

オープンリレーションショップをする理由とその結末

ゲイであってもノンケカップルであっても、長く恋愛関係または婚姻関係を継続していれば、ある程度のマンネリズムが出てきます。
俗に言う空気のような存在ですが、このマンネリを解消する為にオープンリレーションシップが大きく貢献するのです。

まずオープンリレーションシップは大きく分けて、

  1. 交際当時からオープンな関係と割り切っているカップル
  2. セックスレスがきっかけとなりオープンリレーションシップをスタート

これらの2種類があります。

ゲイがオープンリレーションシップで交際を続ける原因はそれぞれ異なります。

しかし同性婚が日本において合法であり将来性を明確にできないこと、そして愛情とセックスは別腹と考えるゲイが多いことが、ゲイがオープンリレーションを許容する背景にあるのでしょう。

勿論そこには互いの信頼関係の強さ、独立した経済力があるからこそ、逆にオープンリレーションシップでの自己の解放が、滞りがちな二人の関係を円滑にする潤滑油になっていくのです。

結婚歴40年!オープンリレーションを貫くオランダゲイカップルの場合

ここでお話したいのがオランダはデン・ハーグに住む、二人のゲイカップルのお話し。ふとしたきっかけで出会うことになった私と奇妙な70代のゲイカップル。
デン・ハーグのセンターから車で15分、閑静な住宅街にある大豪邸。ペットはスワンといういわゆるホワイトカラーのクマ系カップルです。

Wはちょびヒゲが自慢のナイスガイ、Aは長身で若かりし頃のプレイボーイを思わせる面影を残しています。
彼らはまだ同性結婚が合法化される前から、愛を育んできました。

40年以上共に暮らし、法的な効力下での婚姻関係こそないものの、二人の仲は当時と変わらないまま。
その秘訣を聞いてみると、「毎月数回ゲイボーイを買っているんだ!」という返答に困る回答……。

性的少数者の法的な保護、売春もマリファナも合法、全てが人権という軸を基に社会が構成されているオランダならではといいますか、前衛的な方法で愛を継続しているのだなと感心したのを思い出します。

ゲイカップルがゲイボーイを買うことがオープンリレーションシップと言い切れるのかは難しいところですが、二人の合意の元に第三者を交えてデート、セックスを楽しむので枠組みには収まっていますね。

ここでポイントになってくるのが、彼らの約束事です。

  1. ゲイボーイのチョイスは必ず二人で。
  2. どちらか1人だけがオープンリレーションシップを結ばない。
  3. セックスでは必ずコンドームを利用すること。
  4. お気に入りのボーイとは精神的な付き合いを継続にすることが望ましい。
  5. あくまでカップルの愛情が第一優先。

「オープンリレーションシップなんて汚らわしい!」と思い込んでいた私にとって、彼らがそれを行う際に決めたコンディションは非常に厳格で公平性のあるもの。

私が彼らの緩衝剤としてオープンな関係に加わることはありませんでした。
しかしウォーターベッドで3人、川の字になって眠りに落ちる時、制限のない愛の大きさ、可能性を心で感じたことは言うまでもありません。

世の中には性的なボーダーを超えて愛する人がいて、そしてその愛し方は必ずしも私達の意識に埋め込まれたスタンダードではないこと。

オープンリレーションシップを通して、二人の愛を強固にし、他人の幸せや幸福を願うという独りよがりにはならない愛情。
そんな素晴らしき愛の形は虹色の旗がはためき、マリファナの匂いが充満する自由の国では至極当たり前の風景なのです。

似て非なるオープンリレーションシップとポリアモリーの違いとは?

さてここではオープンリレーションシップとしばし混同されてしまうポリアモリーについて解説していきたいと思います。
両者を混在してしまう方も少なくないので、こちらはより注意深く最後までお読みください!

複数人の平等な恋愛関係をポリアモリーと呼ぶ!

オープンリレーションシップと混同される用語として、ポリアモリーとポリガミーがあります。
紙一重の差といえばそれまでですが、ここではそれらの相違点を明確にしていきましょう。

まずポリアモリーとは、結婚という縛りがない恋愛において、性別や人種関わらずに平等な立場で3人以上の恋愛関係を構築していくことです。

一方でポリガミーとは恋愛関係ではなく結婚という場におき、複数人と多重の婚姻関係を結ぶことです。
俗に言う一夫多妻、一妻多夫のことを指しますが、国際社会でもこれらを容認している国々は決して多くはありません。

日本においては多重婚が禁止されているのでポリガミーでの結婚生活はできませんが、ポリアモリーという複数人の恋愛関係を楽しんでいるカップルは少なくないようです。

さてここでオープンリレーションシップとポリアモリーの違いについて触れていきましょう!

まずそれぞれの解釈がカップルによって異なるので明確な定義こそありませんが、ポリアモリーの場合はより平等な精神的愛情が恋愛関係に大きな影響力を持っています。

つまり互いの嫉妬などはあっても、複数の人間が同じだけの愛情をそれぞれが育み、そこに不平等がないことを言います。

そしてオープンリレーションシップは主役であるカップルの揺るぎない愛情が基盤としてあり、そこに付属して第三者が絡むので、カップル間の強固な絆にこそ大きな優先順位があると考えられるのです。

ゲイがポリアモリーで愛を育むという選択肢

先ほどご紹介した私の友人のケースを見てみると、彼らは基本的に二人の精神性を基盤とする愛情が最優先事項であり死守するべき項目。
第三者は彼らにとって本命に並ぶ存在ではなく、あくまで身体の関係がベースの交際であり、そこには平等な愛情はないオープンリレーションシップの関係でした。

これは私の経験上ですがゲイはポリアモリーとして複数の恋愛を同時進行で平等にこなしていくというよりは、上記のようなよりカジュアルな第三者との関係を望む傾向が高く感じます。

ポリアモリーで愛情を育んでいくことは、互いを同じベクトルで愛するからこそ、強烈な嫉妬に駆られていくもの。
それを重荷に感じるゲイカップルは少なくなく、よりカジュアルな他者とのスワッピングやグループセックスに魅力を感じるのでしょう。

しかし嫉妬と愛情の交差点を何度も行ったり来たりするうちに互いを磁石のように引き付けてしまうことが判明し、結果ポリアモリーとして愛情を育む決心をしたゲイカップルもいます。

ゲイはプライベートと仕事、恋愛をしっかり線引きできる方が多いので、当事者が思う以上に苦悩こそしますが、首尾よくポリアモリーの恋愛を維持しやすいとも考えられます……。

逆にビアン女性は恋愛に猪突猛進し人生を賭けてしまう方が多いので、ポリアモリーでは嫉妬に狂い失敗に終わる方も少なくありません。

最近はシングルのゲイが複数人との恋愛をする為のグループやアプリケーションを利用し、同時進行で異なる恋愛の種を育てる方も増えています。

どちらにせよ厳守しなければならないルール作り、自分がそれらを受け入れていける心の器を持ち合わせているのか?
つまりは自分自身を客観視し、将来のパートナーを生涯愛していけるような心の土壌作りを日々肥やしていくことが大切なのです。

国際社会的に同性間のポリアモリーはより認知されにくい現実がありますが、コロンビアではポリアモリーを貫くゲイ達が1世帯として認められるなど、少しづつ社会の理解が得られているということも最後に付け加えておきましょう。

まとめ

脳内に埋め込まれた一対一の恋愛関係、婚姻関係こそ、あるべき愛の形と考えてしまうと、オープンリレーションシップに嫌悪感を感じる方は多いことでしょう。
賛否両論がある恋愛方式であり、未だに宗教的、または個別のモラルが邪魔をするという方も少なくありません。

しかし、オープンリレーションシップなりポリアモリーであっても、ベースとなるのが人間としての信頼関係!

あなたがオープンリレーションシップになるきっかけはいつどこで転がっているのかは分かりません。
しかし決してそれが汚らわしい関係ではないこと、まずはその部分を正しく理解して様々な愛の形を育んで欲しいと思います。

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この記事を書いた人

橋本ウサ太郎

橋本ウサ太郎
新宿二丁目の元バーマネジャー、海外放浪の末、年下スペイン人男性と同性婚。
スペインの田舎町で悶々とした日々を送りながら平和に暮らすゲイ。
アメリカでの代理母出産により二人パパになる予定の三十路ライター。
好きな言葉は、「ペンは剣よりも強し」。

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