いわばデートの定番?とも言える映画
ゲイカップルにぜひ見て欲しいおすすめ映画を紹介

  • 2019.07.16
  • 2019.08.14

エンタメ

ゲイカップルがデートで行くスポットのひとつに映画館がありますが、あなたは映画館に足を運びますか?

ひとことで映画といっても、ドラマ、ファンタジー、コメディー、SF、アクション、ホラー、恋愛、ドキュメンタリー、サスペンス、ミステリー、ミュージカル、アニメ、音楽などたくさんのジャンルがあります。

このうちラブストーリーを描く恋愛映画は、二人の愛を育むという意味でも、カップルで観るのに適しているジャンルと言えるのではないでしょうか。
とはいっても男女の恋愛を描いた映画が多く、ゲイカップルを題材にした恋愛映画は本当に少ないのが現状です。

日本映画産業統計によると、国内では2016年に邦画610本、洋画539本の計1,149本の映画が公開されています。
このうちLGBTを題材にした映画は何本あるのでしょうか。

正確な数は明らかではありませんが、1割にも満たないと思いますし、さらにゲイカップルのラブストーリーを描く映画に限定すると、ごく僅かであると推測されます。

そんななか、今回は筆者が実際に鑑賞したなかから、ゲイカップルにおすすめの映画作品をひとつご紹介します。

イスラエルを舞台にしたOUT IN THE DARK

2012年に公開されたアメリカとイスラエルの合作で、2013年の第22回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭(現在は「レインボー・リール東京〜東京国際レズビアン&ゲイ映画祭」に改称)で上映された作品。

イスラエル第二の都市・テルアビブを舞台に、パレスチナ人学生ニメルとユダヤ人弁護士ロイの恋愛を描いています。

ニメルはヨルダン川西岸のパレスチナ居住区に住むパレスチナ人で、奨学金をもらってテルアブビの大学に通っており、テルアビブに行くための通行許可証を持っています。

ヨルダン川西岸地区は、ヨルダンとイスラエルの間に位置するパレスチナ国(パレスチナ自治区)の一部を形成しているエリアで、面積は5,660平方キロメートルと、日本でいうと愛媛県とほぼ同じ広さ。

ここに約270万人のパレスチナ人と40万人のユダヤ人が暮らしており、パレスチナ人の多くは第一次中東戦争(1948〜1949)時にイスラエルから避難したパレスチナ難民やその家族です。

パレスチナ人とユダヤ人が暮らしているといっても、実際にはユダヤ人が暮らすイスラエル入植地とパレスチナ人が暮らす地域は、高さ8mという分離壁で分断されている状況です。

この分離壁は、2002年にイスラエル政府がテロ対策用防護フェンスとして建設をスタートさせたもので、総延長はなんと700km。
東欧の民主化により1989年に破壊されたベルリンの壁が高さ4m・総延長165kmなので、ざっと高さが2倍、長さは4倍にも上る規模です。

パレスチナ人居住区はこんな大きな分離壁で分断されているため、居住区を出るために通行許可証が必要なことから、ニメルもテルアビブの大学に通うために学生パスを所有しているのです。

人種、宗教、価値観の異なる家庭で育てられた二人

前置きが長くなりましたが、話はパレスチナ人学生ニメルがテルアビブのゲイバーでユダヤ人弁護士ロイに出会い、恋に落ちるところから始まります。

ロイはテルアビブに住む裕福な家庭に育ったユダヤ人で、父親が運営する弁護士事務所に勤務。
両親にもすでにカミングアウトを済ませていますが、「できたら女性と結婚してもらいたい」という親心も知っています。

そんなこともあり、ロイはニメルを自宅に呼んで、付き合っている恋人であることを両親に伝えます。
デートを重ねるニメルとロイですが、ある日、イスラエルの保安警察にニメルがゲイだとバレてしまうことで、二人を取り巻く環境が大きく変わっていきます。

パレスチナ人居住区に住むニメルの兄ナビルは、自宅に武器を隠し持っておいるのですが、それを嗅ぎつけたイスラエル保安警察がニメルに「ナビルを含めテロリスト予備軍の情報を警察に提供する密告者にならないと、お前がゲイであることを家族に伝えるぞ」と脅迫してきたのです。

ゲイであることについて家族の理解を得ているロイとは違い、ニメルはというと両親はもちろん兄弟や友人に一切カミングアウトをしていません。

ニメルの家でゲイはとうてい受けられるものではなく、同性愛は犯罪であり、家族の恥さらしという考えのもとに育てられたからです。
ニメルにとって両親にゲイだとバレてしまうことは、永遠の別れを意味するのです。

苦悩するニメルですが、イスラエル保安警察への情報提供を拒んだ結果、テルアビブの大学へ通うための通行許可証も取り消されることになってしまいました。

大学に籍を置くことはもちろん、パレスチナ人自治区からテルアビブに合法的に移動する手段を断たれたということです。

愛を貫くために決断した二人

その後、ニメルの兄ナビルは武器の不法所持という罪でイスラエル保安警察に身柄を拘束され、共犯者だと疑われたニメルも警察から追われる身となってしまいます。

母親に電話一本で永遠の別れを告げ、恋人ロイのもとに身を寄せるニメルですが、ロイは両親から同性愛を受け入れることはできても、さすがに警察に追われる容疑者を匿うことはできないと告げられます。

ロイも永続的にニメルを匿い続けることはできないと判断、合法的に出国できないニメルの状況を鑑みて、フランスのパリに密航する決断を下します。
ニメルを匿うことでロイも保安警察から目をつけられるなか、二人は密航の日を迎えるのですが、、、

というのがざっくりとした映画のあらすじです。

映画をオススメできるポイント

今回、この映画をご紹介したのはオススメポイントがあるからです。
まずは何と言ってもゲイカップルの恋愛をテーマとしている点です。

ゲイカップルの恋愛をテーマとした作品は複数ありますが、この映画はそれらとは異なると思っています。

最近でこそLGBTという言葉が世の中に知られていますが、映画やテレビではまだまだゲイを特別なものだったり、ちょっと不気味なものだったり、もしくは面白いものという取り上げ方をしているケースが多々あります。

そうしたなか、OUT IN THE DARKでは同性愛がキーワードであるものの、セクシュアリティそのものよりも、恋愛を中心として描いているので、多くのゲイにとって受け入れやすいですし、男同士のラブストーリーなので感情移入しやすいのではないでしょうか。

舞台がイスラエルということに加え、日本とは民族(ユダヤ人、パレスチナ人)や宗教(ユダヤ教、イスラム教)、社会的な背景の異なる人々を描いていいます。

だから「ゲイであることは辛いと思っていたけど、主人公の二人に比べたら、日本に生まれた自分たちは恵まれていたのかな」と思うかもしれません。

イスラエルやパレスチナの歴史的背景を知っていた方がより理解が増すと思いますが、実は彼らの状況を自分に置き換えて想像することもできます。

例えば、同性愛は犯罪という考えのイスラム教徒の家庭に育ったニメルが、妹から「お兄ちゃんがゲイだと周囲にバレたら、私は絶対に結婚もできない」と号泣されるシーン。

日本でも同性愛に理解の無い家庭に育ったゲイが、両親から勘当されたり親子の縁を切られたりするという話は実際にあるので、「自分がこういう状況に陥ったらどうするか?」を考えさせてくれるのです。

また、仮に自分が容疑者として警察から追われたらどうするか、付き合っている相手が逮捕されたらどうするのか、たくさんの質問を投げかけてくるので、ゲイカップルが自分たちの現在、そして将来のことを改めて考えるきっかけになるのではないでしょうか。

真剣に二人のことを考えてみたい、そんなゲイカップルにはオススメの映画だと思います。

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この記事を書いた人

いなば

いなば
神奈川県生まれ。小学生の頃から何となくゲイだと気付き、中学高校と男子校で過ごすなかでセクシュアリティーを確信。大学在学中に母親へカミングアウト済み。
20歳で初めて自分以外のゲイと出会う。
相方の海外駐在に伴い、退職して赴任先へ付いていったことも。
生意気で向こう見ずなクソガキ時代から年齢を重ね、徐々に穏やかで楽天的な性格に。元新聞記者で現在はライター・カメラマン・インタビュアーとして活動する東京在住の40代ゲイ。

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